悲嘆 奈落の底の罹災老人

中国の人々はお年寄りへの畏敬の念が強い。特に、四川省のような地方ではそうだ。その人里離れた山村を烈震が襲い掛かった。働き盛りの大人たちは実家にお年寄りを残し、街に働きに出ていた。
お年寄りたちは、山村の家は倒壊し、家財や持ち物とてなく、着の身着のままで避難生活。青いテントのなかで身をこごめ、孤独を強いられている。大地震で身寄りを亡くしたお年寄りの数は32,000人を超えると言う。
「今じゃワシのたった一つの望みは孫息子を見つけることだ。そうすりゃワシが死んだら棺桶に入れて、墓へ連れてってくれるからだ」と力なく呟く88歳のお爺さん。一人娘を震災で亡くした。街の工事現場で作業中、生き埋めにされた。孫は何年も前に遠くの学校に出かけしまっていない。お爺さんにお孫さんを探し出す当てはない。
震災孤児8000人。孤児たちには未来がある。将来への期待も大きい。そのほとんどは新たな身寄りが現れ、引き取られてゆくだろう。震災故老こそ哀れだ。悲嘆のなか、奈落の底に待っているのは姥捨て山なのか?