群れないで考える

仕事から退いて素浪人になったのを機に、名画座巡りを計画的に再開した。年間100本以上観るつもりだ。
折しも、京橋のフィルムセンターでEU FILM DAYS 2016が始まった。映画で旅するヨーロッパーEU加盟国の選りすぐりの作品を紹介する映画祭。今年で14回目になる。約3週間にわたり31本がスクーリーンに登場。その中から10本観る予定だ。

昨日初日、朝10時半開映だが、土曜ということもあり、9時頃から映画ファン?が路上に並んだ。発券、受付は開映30分前、収容定員(310名)に達し次第締め切りとなる。
ルーマニア映画「日本からの贈り物」で映画祭がオーブンした。英語と日本語の字幕付きだ。英語タイトルは"The Japanese Dog"。日本犬は登場していないが、内容からみて名訳?

午後2本目をみた。「提督の艦隊」ーオランダ映画だ。これも字幕は英語と日本語。英題はズバリ"Admiral"(提督)となっている。2本とも佳作だった。

今回選ばれた31作品の中に、イギリス映画が1本ある。"Maxine Peak HAMLET"。Shakespeare没後400年を記念してマンチェスターで上演された約3時間モノのHAMLETの映像版、字幕なしだ。7月8日にレートショーとして18時頃から上映されるが観ない。
EU内でもとかく英国は厄介モノのようだ。その英国がいま、EUと共に歩み続けるか、袂を分かつか、国論を二分している。EU内にも英国離脱歓迎派がいるはずだ。「これでようやく厄介者がいなくなる。いちいち文句をつけるヤツがいないとなれば、安心して統合をさらにどんどん進められる」このような厄介払い志向が実はEUを危うくする。みんな同じことしか言わない。同じふうにしか考えない。そうした思考停止型仲良しクラブと化してしまえば、統合欧州はフヌケになろう。

EUにとって英国の位置づけは重みがある。あまのじゃくで、ひねくれ者で、なかなか言うことを聞かない。妥協知らずで、呆れるほど一本気だ、このような異分子を抱きしめる懐の深さがEUには必要だ。逆らい好きの英国のように、何かうっとしい顔ぶれが貴重な均衡化要因として作用するものだ。このことにEUと英国が気づくかだ。
群れるのは動物的本能だろうが危険だ。「群れに従えば、いちいち行く先を考えずに済む。が、群れごと全滅する危険もある、どの個体も、群れに任せずに、自分の思う<正しい方向>を考え続けていれば、全滅を回避できるかも知れない(憲法学者 樋口陽一氏)
長く組織人として仕事をしていた小生は「連帯を求めながら孤立を恐れず」を信条にしていたが、仕事から解き放たれた今、「個に徹し、時に連帯も恐れず」へとスイッチしたい。