パラマウント35㎜見納め?

新文芸座(池袋)に注目している。名画座の灯復活というところだ。

現在2週間連続、<銀幕に輝き続ける永遠のヒロイン-追悼 原節子>と銘打て、《河内山宗俊》(1936年)から《慕情の人》(1961年)までの18本を上映中だ。

その前、年明けから<パラマウント・クラシック最終上映?>22本がかかった。その中の2本を丁度10日前に観に行った。いずれもイタリアのネオレアリズモ作品だ。一つは60年代に観たことがある『鉄道員』(1956年)。Carlo Ponte製作、Pietro Germi監督・主演のお馴染みのモノだ。35㎜フィルムで画面が汚れているためかえって味がいい。


もう一本が『自転車泥棒』(Ladri di Biciclette)ー1948年の名品だ。こちらは35㎜ではなくBD(光デイスク)で映写しているため、鮮明なモノクロだ。

名将Vittorio De Cicaが全編ローマロケ。職業俳優を使わず、主役の父親は実際の失業中の電気工を起用し、子役は監督自らが街で見つけた子供を当てている。ドキュメンタリー・タッチで戦後の混乱と貧困にあげぐイタリア社会を描いた2時間モノに食いつくように魅入った。

当時庶民の足だった自転車を盗まれ仕事ができず憔悴する父親に「今がダメなら、他の土地を耕しなさい」と説く修道女。夜、セリエAのサッカー試合を観おわり、ワイワイガヤガヤ、自転車に乗って家路を急ぐ労働者の大群に圧倒された。