為政者の言葉がカギ

ISISとの戦いは終りが見えない。「テロに屈しない」という勇ましい掛け声だけが聞こえるが、ISを<イスラム過激集団>と呼んでいないか?先進主要国の多くにとってテロは深刻な内政問題になっている。イスラム・テロという言い方が気になる。米国流のテロとの戦い,<外敵>を除去する戦いではISの液状化を食い止め、屈服させることは無理だろう。
何故ISなどという残虐な狂信集団を生み出したのか?何が彼らをそこまで追い詰めたのか?
イスラム観から脱却し、イスラム社会の声に耳を傾けるべきだ。米国が<対テロ戦争>にのめり込んでいた9年前のW. Bush政権時代、英国の世論調査によればテロとの戦いは「20年以上」続くという国民が5割を占めた。
イスラム系英国人ジャーナリストが語っていた--「我々イスラム社会にも政府にも足りないところがあった。テロ根絶には互いの信頼と協力がいる。自分は英国の多文化社会の未来を信じる」---この言葉はイスラム系に限らず圧倒的多数の国民の心情だろう。そのうえで同ジャーナリストは「大切なのは為政者の言葉だ。危機をなくすのもつくり出すのも言葉なのだから」と。
2006年M紙のコラム【テロと英国社会】からの引用だが、英国に限らず我が国も含めこんにちの状況に当てはまる重大テーマだ。