“東京を世界一の街に”と意気込むが・・・

久々に飯田橋ギンレイに出かけた。2012年/エストニア・フランス・ベルギーの合作映画“Une Estonienne a Paris”(原題:巴里のエストニア女性)“A Lady in Paris”(英題:巴里の女)。仏映画の至宝Jeanne Moreau(85歳)に銀幕でお目にかかれることもあってか往時のファンが列をなし狭い館内は満席。立ち見どころか通路に坐らせられる始末だ。
画面は雪深いエストニアの田舎町から始まる。夫と離婚し子供たちも巣立ったあと、2年間介護していた母が息を引き取り抜け殻のようになったアンヌ(50歳前後)が憧れのパリへ旅立ち、同じエストニア出身の老婦人の家政婦に。
パリ16区の高級マンションに住む老婦人がJeanne Moreau演じるマダム・フリーダ。アンヌに冷たく、八つ当たり。アンヌが朝マダムのもとに、クロワッサンと紅茶を運ぶと「スーパーで買ったクロワッサンは偽者。本物はパン屋で買うものだ」とたしなめられる。が、気難しいマダム・フリーダもいつしかアンヌと打ち解け、アンヌの腕をとりパリの街並みを歩き、買物に出かける。エッフェル塔凱旋門、カフェ、そして『クロワッサンで朝食』(邦題)が似合う都市だ。
投票率40%台の都知事選が終わった。某候補の選挙カーに乗り、他候補を「人間のクズ」だと喚いたNHK経営委員がいた。PM Abeのお友だちだから何のお咎め無し。M会長もH委員もold right。同じくお友だちだ。NHKが政府報道機関に成り下がるのは無理も無い。主体性ゼロの国策宣伝機関に変質か・・。報道の自由度指標が世界で54位に後退のニッポン。
「(報道の自由に対する)政府の圧力の影は簡単に拭えない」とThe Washington Post紙電子版「米政府も首相がナショナリストなのか改革者なのか疑問に思っている。報道の独立を支持するかどうかを明確にできるのは首相だけだ」と論評する。
首都東京の新知事となったM氏。「東京を世界一の都市にする」と意気込むが大丈夫?PM Abeの口癖「美しい日本を取り戻す」も怪しいが、“東京を云々”も意味不明だ。
近代都市とは? 北京・フィレンツェ・ローマ・ロンドン・・そしてパリがそうだ。ワシントン・ストックフォルムもそうだろう。日本では京都がそうだ。
「そこでは過去が単に古いものとして現代に対立して存在してきただけでなく、現在をより豊かに重層的な構造のものにする力として生きてきた。過去は放っておけば荒廃し消滅してしまう何ものかに過ぎない。過去を生きた力として存続しえたのは、それらの都市の代々の市民の生活の審美観が、それらをいつも再評価し現在に組み入れる努力をしてきたからである。・・京都はその意味で、西洋にあるのと同じ知性と美学が日本にも存在していることを意味する」「東京では、しかし、膨張と前進のためには過去を何の役割も演じられないどころか邪魔でしかないという考えが支配していた。そのために東京は、自分の歴史をつくり近代都市になるのに失敗した。東京を救い出す計画は、すべて何らかの形でこれを解体、分散させる方法の発見にかかっている」(吉田秀和:千年の文化・百年の文明)
【悲しい都市】(荷風)東京。理性を有する都市に変貌するか?怪奇なskyscraperが林立するだけの粗雑な街か?