キナ臭い新年だ

最近ブログの更新が進まない。家族や自分の身辺に楽しいことがあっても何故か気が晴れない。世の中がキナ臭い。陰鬱な不安感が漂っているからだ。
一度降板したMr Abe、PMの座に返り咲いて以来のハシャギ振りが気になっていたが、今度は暴走だ。危険な魂胆と正体が露わになってきた。

State Secrecy Billを強行成立させ、挙句は昨暮、Yasukuni Shrine Visit。彼にとっては満を持して念願成就というところだろうが、戦後各国が営々と築き上げてきた国際秩序を壊さんとする愚挙だ。堪ったものではない。
かかるPM Abeの言動に対し、同盟国の米国政府筋やメディアからの批判が止まない。異例のことだ。

「日本は安定した同盟国になるどころか、中国との論争が原因で、米国高官にとってアジアの新たな問題国になってしまった」と昨年12/27付NYTは手厳しく批判。また、WSJ紙は12/28社説で「(靖国に祭られている)戦没者には、大日本帝国軍の暗黒時代を象徴する東條英機元首相ら14人のA級戦犯が含まれる。PM Abeの靖国参拝は、中国・韓国・米国という奇妙な連合による批判を招いた」と指摘、「外交的不和がもたらす影響は極めて大きい」と表明している。

同神社にある軍事博物館『遊就館』だが、外国人の目にどのように映ったか。「日本を被害者とする信じられないほど偏向した解釈を提示している」と米誌Atlanticの電子版。「(展示内容は)極右陣営の観点から戦争の歴史を書き換えたのも同然だ」「中国人や韓国人だけでなく、ほとんど誰もが不快に想うだろう」と欧米人の声を紹介している。
PM Abeの狙いはNYTが批判する通り、「『戦後体制からの脱却』である」「それは時代錯誤的であり、同時に危険なビジョンである」


この点、『敗北を抱きしめて』の著者John W Dower氏がGavan McCormack豪国立大名誉教授と共同でこの新年に著した【転換期の日本へ】(NHK出版新書)は注目される。同書の序言で世界的大家が日本の抱える難題に触れるとともに今後進むべき方向性を指し示している--

「日本の難題は、新しい<アジア太平洋>共同体をイメージし、敵対的対立ではなく経済的・文化的な協力関係の構築に資源とエネルギーを注ぐことのできる指導者が存在しないことにある。日々生起する危機を乗り切るだけで精一杯ということではなく、指導者には、将来に対する聡明な洞察力と勇気が何よりも必要とされている」ー我が為政者には耳が痛いところだろう。さらに両氏は「・・・ある種の<パックス・アジア>(アジアによる平和)構想を描いてみると、そこでは、対立ではなく共同体的な活動が基本となり、何よりも実質的に平等であることが参加国の必須条件となる。これらは理想的目標であるが、達成可能な目標でもある。話し合いで解決可能な緊張や問題に対して、武力による威嚇と戦争によって対峙するという反応を余りにも頻繁に目にするが、こうした平和構想の方向に向けて思考やエネルギーを注ぐ方がはるかに現実的ではないか」と述べている。傾聴すべきだ