「積極的平和主義」の怪

PM Abeの外遊好きは異様だ。国際社会で存在感が希薄なのを気にしてか、まるで世界のリーダー気取りで、訪問先でやたらと記者会見やスピーチ。
が、ウンザリばかりもしていられない。

NY国連本部で「積極的平和主義の立場から・・・・・国連の集団安全保障措置に一層積極的に参加できるようにしたい」と大見得をきったPM Abe。保守系シンクタンク「ハドソン研究所」に招かれ?我が意を得たりだ。集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更に意欲を示し「愛する国を積極的平和主義の国にしよう(to make my beloved country a proactive contributor to peace)と決意している」と正体を暴露した。

“積極的平和主義”などと云われると普通悪いニュアンスはなく、口当たりがいい造語だが、中身がよく分からない。ハドソン研究所でのスピーチが大うけだった状況からみれば、<憲法9条を死守し平和主義に徹する>という字義通りの意味ではない。護憲の立場に立つ平和主義を消極的だと批判し、具体的行動を起こすことが重要だという。

ハドソン研究所と云えばウルトラ保守の集団。元NHKワシントン特派員日高義樹

米本国ではDan Quayleが思い浮かぶ。あのパパBush大統領のもと、第44代Vice Presidentになった人物だが、ジャガイモのスペルPotatoを間違えてPotatoeと綴ったり、「ラテンアメリカ諸国ではラテン語は話されている」など意味のわからない発言を連発。恥ずべき不名誉なイグノーブル(Ignoble)賞を授与されたほどだ。



さらに勢い余って「私を右翼の軍国主義者だと呼びたいのであえば、そう呼んでもらいたい」と開き直るPM Abeだが、米主要紙は同研究所でのスピーチは完全無視、国連での演説も雑報扱い。おまけに、President Obamaとの会談は実現できず、赤っ恥をかいた。

「PM Abeの強烈なメッセージにもかかわらず、何故ワシントンはこうも冷淡なのか」と米経済誌Forbesは分析。「PM Abeの構想が日本自身の安全保障にとって危険で余計あるだけでなく、大部分の日本人の思いとあまりにもかけ離れている」と指摘する。

アジアでの米中関係のバランス転換を図ろうとする米中戦略対話を進めるうえで、MR Abeの集団的自衛権行使容認などの動きと構想は『間違ったものだ』と断じている。
<攻撃は最大の防御>まで進まないものの<備えあれば憂いなし>は通用しない。日本の備えは隣国にとって脅威となる。

平和主義はpacifistというが。hawkish pacifistは存在しない。