「日本を取り戻す」=改憲? 世界遺産を壊す気なの?

富士山が世界遺産(世界文化遺産)に登録され沸いている。

なぜ世界遺産なんてぇモノをつくるのか?お笑い芸人の教え子O君が解説してくれている--
世界遺産をなぜわざわざつくるのかといえば、自分たちの愚かさを知るためだと思うんです。ひょっとすると、戦争やテロで大事なものを壊してしまうかもしれない。そんな自分たち人間の愚かさに対する疑いがないと、この発想は出てきません。人間とは愚かなものだから、何があってもこれだけは守ることに決めておこうというのが、世界遺産の精神ですよね。そんな規程がなくても守れるのなら、わざわざ世界遺産なんて言わなくてもいいわけです」
「今までの歴史が証明してきたように、人間は自分たちの行動に対する疑いを強く持っています。それが想像力なんだと思います」
日本国憲法の九条というのは、ひょっとしたら間違いを犯すかもしれない、そんな愚かな人間だからこそ守っていかなければならない世界遺産なんです」

PM Abeらが参院選を前に絶叫している『日本を取り戻す』。まるで日本が現在どこかの国に奪われてしまっているような過激で不可解なキャッチコピーだが、狙いはここにあるー<現日本国憲法は敗戦後、GHQ統治下のもとで米国に押し付けられた憲法だ。今こそ、自前の憲法をもたなければならない。9条も現下の国際情勢の現実に照らし改定すべきだ>ー現状追認に加え復古主義(戦前回帰)が窺える。

LDP改憲のいつもながらの釈明だが、O氏の論法は爽快だー「戦争をしていた日本とアメリカが、戦争が終わったとたん、日米合作であの無垢な理想憲法を作った。時代の流れからして、日本もアメリカもあの無垢な理想に向かい合えたのは、あの瞬間しかなかったんじゃないか。日本人の、15年も続いた戦争に嫌気がさしているピークの感情と、この国を二度と戦争を起こさせない国にしようというアメリカの思惑が重なった瞬間に、ぽっとできた。これはもう誰が作ったかという次元を超えたものだし、国の境すら超越した合作だし、奇蹟的な成立の仕方だなと感じたんです」


O氏の発言は明快だー「価値があるのは、日本人が曲がりなりにも、いろんな拡大解釈をしながらも、この平和憲法を維持してきたことです。あの憲法をみると、日本人もいいなと思えるし、アメリカ人もいいなと思える。すごくいいことじゃないですか」「その奇蹟の憲法を、自分の国の憲法は自分でつくりましょうという程度の理由で変えたくない。少なくとも僕は、この憲法を変えてしまう時代の一員でありたくない」同感だ。「お笑いの判断基準でいえば、憲法九条を持っている日本のほうが絶対面白いと思うんです」「憲法九条というのは、ある意味、人類の限界を超える挑戦でしょう。たぶん、人間の限界は、九条の下にあるかも知れない。それでも挑戦していく意味はあるんじゃないか。いまこの時点では絵空事かもしれないけれど、世界中がこの平和憲法を持てば、一歩進んだ人間になる可能性もある」


このO氏が24年前没した漫画界の巨匠手塚治虫をBS2で演じている。「画家として表現力がズバぬけていた人ではないか」と手塚さんを指摘するO氏。漫画の未来の1つに自然災害を描くという問題意識には驚嘆させられる。
O氏は手塚さんになりかわって「あきらめないでほしい。明るい未来がくることを信じて欲しい」訴える。たかがお笑い芸人ではない。その意志的楽観主義に基づく先見性・・この国のLeading Voiceの一人になりつつある。

下心あるPM Abeも真っ青だろう。はしなくもその欺瞞性が透けて見えてきた。