Japan's Nationalismの排外的特異性

このところAbe CabinetのNationalism傾向が目立つ。Patriotism(愛国主義)と異なり、ひと言で定義できないのがnationalismだ。国家主義国粋主義とでも呼ぼうか........。

"Patriotism is when love of your own people comes first: nationalism, when hate for people other than your own comes first."(愛国心というものは、何よりも自国民を愛する心の表れである。一方、ナショナリズムとは、先ず第一に自国民以外の他国民を憎む気持が発露するものである)仏元大統領Charles De Gaulle将軍の言葉だ。

Albert Einsteinに言わせれば、"Nationalism is an infantile disease. It is the measles of mankind."(ナショナリズムは幼児期の病気のようなもの。人が誰でも罹るハシカのようなものだ)ということになる。

丁度10年前、カナダの地方都市に出かけたことがあるが、カナダ生まれの若者は自国を愛しながらもカナダ人として誇りを持つことに戸惑いを覚え、恥ずかしく思うこともあると言う。ある女子高校生が交換留学生として同年代ドイツ人高校生の家庭に100日間滞在した。

ある夜、パジャマ姿のまま夜遅くまで、ホームステイ先の高校生とnationalismについて話し合った。お互いに祖父が第二次世界大戦に従軍、敵味方に分かれて戦ったことが分かった。二人の間で国への想いに違いが生まれた。カナダの高校生は最近のヒドイ気象変動の問題はあるものの、カナダ人であることへの誇りはあるが、ドイツは異なる。第二次大戦の結果、とりわけホロコーストの汚名・恥部をもつ。その歴史的事実を隠すことなく、ドイツ人高校生はバッグの背中にドイツ国旗を縫い付けている。

カナダの女子高校生はハッと気づく。自分はカナダの歴史に何ら関わっていないじゃないか。無関係なのに何故国に誇りを持つのだ? 事実、カナダは恥ずべき歴史がある。カナダ先住民に対し非人道的扱いをしてきた。首相が先住民が通う学校に対して採ってきた同化・併合政策を謝罪したのはつい4年前のことだ。


この高校生が語っているー「先の戦争に対する罪意識がドイツと日本とでは決定的に違う。このことをホームステイを通じて直接実感できたのは非常に勉強になった。ドイツの教師たちは学校で、カナダや日本と比較してはるかに率直かつ様々な視点から第二次大戦の事実を教える。そのことにより、自国の歴史に対する批判精神をもつ若者を育成している。これこそ、ドイツ人が誇りとすべき点だと実感した」

さらにカナダの高校生は「相手が自分の国は最高だと自慢し始めると、多少ナーバスになる。この高揚感がある種の好戦的国家主義と戦争を誘発しかねないからだ」と付言している。
高揚感といえば、去る4/23、我が国国会(衆院)議員168名が、靖国を参拝、記録的人数だ。PM Abeは参拝せず、供物を奉納したというがDeputy PMも参拝している。5/5付The NYT Weekly Review社説は"Japan's Nationalism"と題して--
"He has record of defending Japan's conduct during World WarⅡ. Mr Abe and his allies know well what a deeply sensitive issues this is for China and South Korea, which suffered under Japan's 20th-century empire-building and militarism, and the reaction was predictable."
(安倍氏には第二次世界大戦中の日本の行為を擁護した前科がある。安倍氏とその側近たちは、この靖国参拝が中国や韓国にとっていかに敏感な問題であるかをを十分に承知している。20世紀前半の日本帝国と軍国主義が両国に大変な痛苦を与えたからだ。だから、両国の反応は予測していたはずだ)


靖国参拝に対する中韓の反撥に「脅かしに怯まず、堂々と自分の意志で参拝されればよい」「侵略の意味も定まったモノがない」と開き直る始末だ。

UKのFinancial Timesは「PM Abeが本心をのぞかせた」。韓国中央日報社説は「侵略の歴史を否定したい内心を表わした詭弁といわざるを得ない」「歴史の針を逆に回そうとしている」と懸念を強めている。

PM Abeの露・中東歴訪のパフォーマンスを主たるメディアが連日持ち上げているが、Nationalismの香水が匂う。世界の耳目や鼻は麻痺していない。