若者へ---自力で知識を獲得する力と他者と共に生き、競い合う方法を

俄かに隣国と孤島・無人島の領有権を巡るトラブルが噴出している。時代が時代ならばキナ臭い紛争・軍事衝突に発展しかねない。
積年の、いわば“腫れモノ”とも云うべき、尖閣諸島竹島の問題だ。
1885年ごろまで無人島だった尖閣。1895年日本領土として閣議決定したもの敗戦後無人島のまま、1951年米国が施政下に置いていた沖縄の1部に組み入れた。
ところが1969年海洋調査の結果、周辺海域に大量の石油の埋蔵量があることが判明。それを契機に台湾・中国政府が領有権を主張し始めた。現在日本が実効支配している。


1905年以来日本領土、島根県の一部として認知されている竹島。1952年、大韓民国が李承晩(当時の大統領)ラインを設定、一方的にこの島を占領、「独島」と名づけ、武力支配し要塞化している。


以上は、日本側の主張する歴史的経緯であり事実関係である。他方、中韓両国にはそれぞれ“我が国領土”と主張する歴史的ストーリーがあろう。が、第三者が客観的にみた場合、2島とも日本に帰属する島だと判断するだろう。米国務省の報道官の日韓・日中の諍いに不快感を示しながらも暗に中韓の子供じみたこじつけを批判している感がある。
とは言え、それぞれ当事者国の相手国に対する不当呼ばわりと自国の主張の正当化のくり返し、さらには愛国的デモにはウンザリ。止みそうもない。



ここで重要なのは若者たちにこの問題をどのように提起するかだ。中韓政府の態度の不当性ばかりを協調するとすれば、若者、特に10代後半の高校生に潜在しがちな偏狭なナショナリズムを煽りかねない。


東シナ海に浮かぶ島民のいない二つの孤島を占有することがその国にとってそんなに死活的に重要なのか? 大方のお叱りを覚悟の上で言わせていただければ『尖閣は日中で、竹島は日韓で共有したら如何?』
領土や島の共有などという状況はいまの世界に存在しないだろうが、ボクたちは、領土問題の拗れが紛争のもとになることを過去の教訓から汲み取っているはずだ。尖閣竹島の領有権問題は解決の見通しはない。このまま対立がエスカレートすれば東アジアの平和を揺るがしかねない。


かかる難問の解決を左右するのは、未来の主役となる若者の教育のあり方だ。中等教育・高等教育に携わる者は今こそ学校教育の不可欠の役割を改めて認識しなければならない---
前世紀末、元イスラエル首相Shimon PeresがBill Gatesとの対談の中で語っている--『異なった価値観が存在する世界で、教育がこれからも重要な課題のひとつとなっていくだろう。....さまざまな価値観が存在する多元的な世界のなかで、他者と共に生き、同時に競争していく方法を学ばなければならない』--(文明との対話-「教育はどう変わるか」より)

パレスチナ問題を抱えるイスラエルの首相の言葉であるだけにその意味は重い。