Field Journalistのrole modelが非業の最期

戦場カメラマンと云えばスペイン戦争から第一次インドシナ戦争まで5回の戦争をレポートしたRobert Capa。20世紀を代表するbattlefield photographerだった。第一次インドシナ戦争中、北ベトナムで地雷に触れ爆死。享年41歳。


日本にも知名度こそ高くないが、戦場の最前線を熟知しているジャーナリストのrole modelとも言うべき聡明で凜としたプロ女性記者がいた。紛争地・戦地を駆け巡るビデオジャーナリストの先駆けだったY.Mさん。内戦・市街戦が泥沼化のシリアで殺害された。非業の最期と申し上げるほかない。


Slain reporter was drawn to warと英字紙のHeadline。小見出し“She strived to give voice to women and children in conflict zones”がY.Mさんの取材スタンスを物語っている。


大学での特別講義で「紛争地の苦しみは、遠い国の出来事ではなく、日本の私たちともつながっている」と学生に訴え、「ジャーナリストがいれば、状況悪化を防ぐことにもつながる。リスクを回避したうえで、現地に入ることが重要」だと。「紛争の現場で何が起きているかを伝えることで、世界が少しでも良くなればいい。報道することで社会を変えることができる、私はそう信じています」「・・・内外を問わず、目が届きにくい。忘れがちな問題を掘り起こしていくことも、メディアの責務としてあります」と学生へのメッセージを残している。
Y.Mさんがジャーナリストを志した原点は1991年発生した雲仙普賢岳火砕流による被災者の取材にあった。3/11大震災の被災地にも赴いている。


Y.Mさんの御父さんは「『戦争ジャーナリスト』と言われるのは認めたくない。紛争や災害など不利な状況に置かれている人たちの側に立って事実を伝えてきたことに尽きる。最高のジャーナリストだった」と語る。

粗雑なベタ記事や垂れ流し報道、さらには戦争プロパガンダにさえ走るwar reporterが多いなかで、真のジャーナリスト魂を持った稀有な存在のhuman journalistのY.Mさん。“戦場のリスクは回避”出来なかった。悲痛で無念だ。