軽妙なジョークに品のいい“笑い”

3月も終りだ。“春に三日の晴れ無し”と云うが、余寒続きで大幅遅咲きの都心の桜も開花したようだ。4月は入学式の時節。“挨拶はたいへんだ”

数年前、ナンデモカジロウさんの名文句<祝辞は短く弔辞は長く>で切り出したら、会場の笑いを誘い、まとまり良く挨拶を終えた。

スピーチは最初のイントロが肝心だ。得てして肩に力が入りすぎる。「とかく霞むが春のくせ」と長唄の文句で始めるにはまだ早いが、導入部にちょっとしたジョークでも織り込みたいものだ。

先般Seoulで開催のNuclear Security Summitで主役を演じたPresident ObamaがHankaku University of Foreign Studies(韓国外語大)で記念講演を行なった。45言語の学科を置く世界有数の外語大の学生を前に、スピーチの名手Barack Obamaはユーモアで切り出す。

“I know that this school has one of the world's finest foreign language programs-which means that your English is much better than my Korean. All I can say is, kamsahamnida.”(世界でもトップクラスの外国語教育プログラムをお持ちの大学でしょう。ですから、皆さんの英語は私の韓国語と比べものにならない。なにしろ私の話せる韓国語と云えば、アリガトウゴザイマスだけですから)
鳴り止まぬ満場の笑いと拍手が静まるのを待って本題へ。自然と学生たちが身を乗り出し耳を傾ける。Barack Obamaのいつもながらの憎い手法だ。
明日はApril Fool。A紙be on Saturdayに『サザエさん』1956年4月1日掲載の4コマ漫画が転載されている。

梯子が壊れ屋根から今にも落ちそうになった波平。だがカツオが急を知らせても、誰も信じてくれない。なにせ日が悪い。4/1だ。
90年4月1日の新聞広告に読者はビックリ--「史上最低の豊島園 来るんじゃなかった!」--これを見た読者が押しかけ、異常なほど客が増えたという。

79年4月1日のA紙。「4月馬鹿」を表題にした漫画、『フジ三太郎』が凄い。
ヤカンから出る水蒸気に驚いた花見客が争うように逃げる。無理もない。そこは原発だった。Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant事故の予告か?

日本にも上品な笑いの文化はあるはずだが・・・。
『ユーモアのレッスン』のT先生曰く--「メーデーの5月1日も元は春の到来を喜ぶ日だった。冬が過ぎ春になり心も軽くなった表れ。だますというより笑いの文化ととらえるべきだ。武士の伝統で謹厳実直な日本では、笑いを受け入れない風土がある。もっとユーモアを楽しむといい」