会津の新構想ー病める日本のカンフル剤

福島第一原発から95㌔の会津若松。不振にもがく地場産業、新たな国内企業の誘致も至難だ。思案の揚句、中国へ飛んだ市長さん。新興重機メーカーの支店の誘致に乗り出し、中国への工場進出が続く近年の潮流を逆手にとる手法に出た。

「海外から支援なしに、日本はもはや成長は望めないという結論に達した」と市長さん。「拠点が米国であろうが中国であろうが構わない。会津若松でビジネスチャンス。千客万来だ」と仰る。
勢いを無くして久しかった日本経済があの大惨事と原発事故のダブルパンチを受け方向転換を余儀なくされて1年、この国は長年忌避してきたことを受け入れざるを得ないことに気づきつつある。海外メーカーへの門戸解放だ。

このことは、取りも直さずこんにちのパワー・シフトを物語っている。急伸する中国資本は驚異的であり、昨年日本を追い抜き世界第二位の経済大国となった。昨年、HaierがSanyo Electricの洗濯器や冷蔵庫の生産部門を買収するなど
いま中国は日本企業の買占めに躍起になっている。

「我々の目標は、日本の水準に適う製品づくりにある」と建設機械・重機材大大手Zoomilionの最高経営責任者は胸を張る。

日本政府は岩手・宮城の被災地を「震災復興特区」に指定。進出企業に奨励金を出し、税額控除するという。中でも福島に進出する産業への交付金は2250億円と最高。新規の企業には300億円。早速カナダの太陽パネル会社が宮城か福島に工場を新設する。

日本が海外からの投資を誘導するうえで会津若松のような地方都市の存在は極めて重要だ。地代や賃借料が東京よりもはるかに安く、高い技術の人材パワーが確保できる。


地方都市に地方大学そしてコンサルタント会社Accenture三者が一体となっての先導的試行には、会津若松を再生エネルギー創出とハイテク技術支援の研究・開発センター、“smart city”に変貌させる狙いがある。

「中国からの投資は大いに結構だが、究極の目標は日本版シリコン・バレーです」とAccentureコンサルタントN氏の鼻息は荒い。