Lost Decades(失われた20年)の後に来るものは・・

1992年放送の「NHKアーカイブ」が再放された。40年前、72年2月28年の『あさま山荘事件』、衝撃の捕物生中継である。視聴率90%、驚異的数字だった。



途中でニュース速報が入った。中国を電撃訪問したPresident Nixon(当時)夫妻が上海からAir Force Oneで帰国の途につく映像だ。因みにNixon氏は2年後の74年8月9日、The Watergate Scandalで大統領を辞任した。

 40年前と20年前とを同時代的に“アーカイブ”出来ない。40年前日本は好景気に沸いていた。景気後退が始まったのが20年前、90年代前半からである。バブル経済の崩壊が消費や雇用に悪影響を及ぼし、デフレとなった。この90年代初頭から今世紀幕開けまでの経済をかつてはThe Lost Decade(失われた10年)と称したものだ。ところが、2008年に世界金融危機が起きた。いわゆるLehman Shockだ。それを契機に、90年代〜2000年代以降の経済を合わせて“The Lost Decades”(失われた20年)と呼ぶようになった。

92年3月14日に登場しThe Lost Decadesを高速で走り続けた「300系」。東海道・山陽新幹線の最速bullet train<のぞみ>に転用するための車両であり、高速化に加え、省エネ、軽量化にも寄与し、JRの運行効率向上に大いに役立った。

この「300系」が来たる3月17日のダイヤ改正を機に20年間の営業運転に幕を閉じ引退する。奇しくも今年は1872年《汽笛一声新橋を・・》から丁度140年、省エネ性能を一段と高めた「700系」「N700系」が新登場、東海道を走る。「国内人口の減少、車両や運行技術の海外展開など日本の鉄道を取り巻く環境が新しいステージに入る中、新世代に次の20年を託す」(2/26付:日経新聞)という。

が、“新しいステージ”“新世代の「700系」車両”と言われたとき、少なからず戸惑いを覚える。省エネ性能のアップが節電に結びつくのか。かつては親方日の丸だった大量の電力需要企業JRは、3/11以来、東電に対し何か発言したことがあるか?

たまたまあの日、新丸ビル内で震度5強に遭遇し、帰宅難民になったボクらが経験したのはJR職員の官僚的で驚くほど冷淡な利用客への態度だった。TEPCOに似て親方日の丸感覚が抜けないのではないか。

高性能の「700系」車両とは【過剰なまでの<便利>の追求】に他ならない。「便利さ」の先に何があるというのか?

3/11を境に漂う喪失感と不安感、そして出口無し・・。≪The New Era for the next 20 years to come≫がlost decadesを引き摺らない保証はない。

大きな破局に直面したニッポンだ。新たなbeat decadesが延々と続くかもしれない。いま求められるのは“We are down but not out”の気概だけではない。