“曖昧な国ニッポン”に募る不信

3/11の事故発生から8ヶ月経って政府は福島第一原発を報道陣に公開した。担当大臣の視察に同行する形で、海外プレスも含めメディアの代表が敷地内に入った。が、原子炉建屋内部は公開されず、報道陣はバスで敷地内を視察。

史上最悪ともいうべき事故の傷痕が構内のあちこち残っている。無残に大破した4号機の原子炉建屋は水素爆発で壁があちこちで剥がれ、3号機原子炉建屋の上部は原形をとどめていない。


「死ぬだろうと思ったことが何度もあった」とY所長さん。
「この危機にどう立ち向かうのか世界は日本と日本国民に注目しています」と海外特派員。
「誰もが日本の今後を気にしています」「情報を人々に提供し続けるべき世界が心配しているのだから・・」日本在住の米国人の声である。

仏RTLテレビの記者は「日本は存在感を失い深いダメージを負ってしまった」「日本は今あまりに官僚的で旧態依然とした対応を行い国際社会の関心にこたえていません」と批判する。
3/11大震災による原発事故への日本の対応に対するこうした海外からの心配の声と批判は看過できない。誰も責任を取ろうとしない。情報隠しと曖昧さと楽観論が漂っているのではないか。

TPP(環太平洋連携協定)交渉参加を巡って世論が沸騰。推進派のメディアさえ「国論二分」と指摘するほど、反対の声が噴き上がった。


そうした中で、PM Nodaは「慎重に判断」すると態度表明を1日延ばすだけで、「数多くの懸念が指摘されていることは十二分に認識している」との言葉を置き土産にハワイへ旅立った。


懸念に対する説明責任は全く果たしていない。根拠なしに「日本の医療制度、日本の伝等、文化、美しい農村、そうしたものは断固として守り抜く」と観念的な台詞に終始するだけだ。我が国PMがtough negotiatorだとは到底考えられない。

PM Nodaを歓迎するPreside Obamaの背を米議会とOccupy運動が押し上げる。中国・韓国・インド・インドネシアなどアジアの大国が軒並み参加しないTPP交渉で「アジア太平洋地域の成長力」を取り込んでみせるなどと意気込んでみても虚勢に聞こえる。PM Nodaは「国益」の名のもとに“アメリカの使い走り”になるのがオチだろう。何しろ“アメリカに睨まれでのしたらオシマイ”だからだ。国際社会での日本の存在感と信用は地に落ちる寸前にある。