私欲無きプロの仕事師不在--日米欧の真夏の異変


『「夏」の帝の『真晝時』』(仏高踏派詩人Leconte de Lisle<真晝>:上田敏訳詩集《海潮音》より)と謳われた八月、聖地である避暑地に出かけるはずの英国の若者の姿が消え、ビーチから街中のバリケードに突進。政府の緊縮財政への怒りが暴動へとエスカレート。


Londonで警察に拘束された暴徒の1人、19歳の青年が“No one has ever given me a chance”(誰も何の機会も与えてくれたことは無い)と怒りに絶望を滲ませる。EUの優等生ドイツも辟易だ。ギリシャへのbailing out(資金援助)にウンザリしている最中に今度は英国....。大戦後に傷ついた国家のリハビリとも言うべきEU圏の存在に信頼を寄せているドイツ国民は皆無に近い。西欧はドイツを救済したという思いが強いかも知れぬが、財政面ばかりかEU圏の理念についても見返りは余り望めない。


米国も異様で困ったものだ。ワシントン州のMount Rainier National Park(マウント・レニアー国立公園)の8月はまるで冬だ。昨冬の残雪の上をスキーだ。バックパッカーやハイカーの足は遠のく。A Long, Hot SummerならぬA Long, Cold Summer at Mount Rainier。お蔭で観光客はガタ減りだ。当地はこの1年厳寒だったらしい。異常気象が観光シーズンをハイジャックしてしまったわけだ。



ハイジャックと云えば、近時の市場の混乱と大暴落。Paul Krugman氏は“This is what happens when influential people exploit a crisis instead of doing something about solving it”(責任ある立場の有力者たちが問題解決を放棄して危機を食いモノにした結果招いた)--“The hijacked crisis”(乗っ取られた危機)と批判。国際債務や歳出削減などより不可欠なのは雇用の創出、失業対策にあるとコメントする。


洋の東西を問わず、責任感旺盛で私利私欲、党利党略に走らぬリ−ダー不在である。
米国では2012年の大統領選をに向けてGOPが勢いづいている。

Iowa州での模擬投票でトップに踊り出たのがミネソタ州選出下院議員Michele Bachmann女史。超保守のTea Partyから絶大的支持を受け、反Obamaの急先鋒として急浮上、侮れない存在となっている。

第二位は比較的リベラルなTexas州選出下院議員Ron PaulBarack Obamaに対抗できるGOP最有力者候補だ。Sarah Palinはどうしたのか? 出馬するかどうか態度を決めかねている...?
此方の模様はどうなってる? Post Kan争いも冴えない。
大正時代の大隈内閣当時の議会を歌人与謝野晶子が痛烈に批判している--

「此処に在る者は /民衆を代表せずして / 私党を樹て / 人類の愛を思はずして / 動物的利己を計り / 公論の代りに / 私語と怒号と罵声とを交換す」
内外とも政治の劣化は甚だしい。