取り返す言葉の力の有無

東北電力圏内で暮らしていた人たちの地方に居すわっている福島原発の持ち主は東京電力。そのことは先刻承知しているが、肝心の管内中心首都圏には東電の原発ゼロには恐れ入る。ショバ荒らしか他人の褌(フンドシ)で相撲を取ろうと云うのか。虫のいい話だ。
出口の見当たらない、戦後最悪の受難のなかで、我が国のトップ・リーダーから国民を鼓舞する言葉が全く発せられない。なぜ日本の為政者は、また御用知識人はかくも言葉が(饒舌、能弁であっても)貧弱・空疎なのか。被災地の人たちの短い訥弁のほうが胸を打つ。福島原発近くの畜産者が東電幹部に言いたいことは「この牛の涙を見てくれ」。

いささか旧聞に属するが、先月末の北欧Norwayの惨劇に直面した Jens Stoltenberg首相のスピーチは魂の言葉だ。



7/22に起きたmassacre。93人の犠牲者を出した。第二次大戦後Norway最悪の悲劇である。首相は国民に向け声明を発した--
“You will not destroy our democracy, nor our quest for a better world”(誰も、我が国の民主主義を破壊できない。より良い世界を希求す我が国民を損壊することもできない)--ここで云うYouは得体の知れない犯人を指すものとみるべきだろう。


“Tomorrow we will show the world that Norway's democracy grows stronger than when it is challenged”(我々は将来、ノルウェイの民主主義は挑戦を受けたときより強固なものになることを世界に実証しようではないか)。
24日の日曜日Oslo Cathedralでの追悼ミサに出た首相は、25日Osloでの犠牲者追悼行進(参加者15万)のを前に“We will win back our feeling of security”(我が国の安全性を復活させよう)“It is a march for democracy, tolerance and unity”(これこそ、民主主義と寛容と結束の行進だ)。


そして“Evil can kill a person but never conquer a nation”(悪は人間を葬っても国家を征服できない)
J. Stoltenberg首相はプロの経済学者であり真のプロ政治家だ。スピーチは崇高だ。