スーパー・プレーヤーに学ぶ礼儀作法と日常性

The Nadeshiko Japanを漢字で書けば“大和撫子”(ヤマトナデシコ)となろう。ルーツは古事記や日本書記に登場する女神「クシナダヒメ」の異名であり、植物「カワラナデシコ」(河原撫子)の異名でもある。日本人女性の清楚な様子や美しさを褒め称える比喩として使われる表現だ。


W杯チャンピオンに輝いたNadeshikoの選手たちも、試合中の男子顔負けの勇猛で不屈のプレー後のインタビューでは清楚で素朴な表情が醸し出されていた。

得点王のNadeshikoのリーダーHomare Sawaのコメントがいい。改めて引用したい。米国を破ったあとThe NY Timesの記者のインタビューに答えている---
“Japan has been hurt and so many lives have been affected. We cannot change that. But Japan is coming back and this was our chance to represent our nation and show that we never stopped working”---
謙虚で控え目だが凜としたコメントだ。日本のスポーツ選手は概して言葉が貧弱、ぶっきら棒で味も素っ気もないが、Mis Sawaのコメントは短いが最近稀に見る秀逸で胸に刻むべき言葉だ。インタビュアーの問いかけ方によって
きちんとした答えが返って来るものだ。質問力の影響は大きい。

The NY Timesのcolumnist、Roger Cohen氏(英国生まれ)は“Learning Decency From Sport”(スポーツから学ぶべき品性・礼儀)と題して、米国ばかりか世界女子サッカー界のスーパープレーヤーAbby Wambackとゴルフ全英オープンを初制覇した北アイルランド出身Darren Clarkeの人間性を特筆する。

Abby Wambackは身長181cmの言わずと知れたスーパーストライカー、特にそのヘディングは脅威的、Nadeshiko Japanも最も警戒していたが防げなかった。

 Roger Clarkeは親日家で、間もなく43歳。久々にアラフォーのチャンピオンだ。これまでの世界ランキングは最高が8位。5年前ご夫人を乳がんで亡くしたR.Clarkeは、今年の全米オープンを制したローリー・マキロイ(22歳)を初め若き世界の王者の「生みの親」としても知られている。R. Clarkeは7/16優勝の夜、マキロイやタイガー・ウッズからも賞賛を受けた。


Roger Cohen氏は“The appeal of athletes like Abby Wambach and Darren Clarke is based on their and ordinariness”(A.ワンバクやD.クラークのようなトップアスリートの魅力はその献身性と日常性がベースになっている)と指摘。そのうえで、“Sports figures who have enough of a center to resist the glint of fame”(スポーツと云うものは、エースでありながら名声の輝きに抵抗を覚えているのがどのプレーヤーであるかを見事に物語るものがある)と明言する。