悩ましいEU圏のSummer Holidays

日本の小中高は7/21から夏休みがスタート、期間は40日が通例だが、今夏は様変わりする。3/11の影響で、被災地に限らず、首都圏も大学の大半はsummer holidaysを短縮する模様だ。が、経産省とTEPCOから節電を求められている時節柄だけあって、当局も頭が痛いそころだろう。

欧米諸国の夏休みの長さは周知のことだが、EU圏の小学校は国情によってややこしい問題を抱えている。

英国の小学生は6週間の夏休みを楽しみに待っているが、フランスからやって来た小一のDorineちゃん(7歳)にとっては期待はずれだ。「もっと長い休みが欲しい」とパリ郊外のスーパーで両親とお買い物中のDorineちゃん。

でも、英国の小学校に通っている以上仕方がない。仏伝統の2ヶ月間のsummer holidaysはカットと相成った。フランスの小学校の年間授業日数はわずか144日、他のEU諸国の平均185日に比してビックリするほど少ない。それだけ教師も出勤日数が少なく楽かというとそうでもない。家で指導要領に基づくシラバスの作成に懸命だ。おまけに、仏の小学校のほとんどが8時30分始業、終業時間が16時30分。毎日7時間授業だ。子供たちは堪らない。午後の授業は集中力がガクンと落ちる。お蔭で、10歳の小学生の26%が落ちこぼれ、算数など30%の児童が全く判らぬまま放置されているという。


何故フランスでは小学生に2ヶ月にも及ぶ夏休みを与え、その分、1日の授業時間に負担を強いるのか。背景に観光省の思惑が働いている。summer holidaysが長ければ、人が動く。長期旅行客が多くなる。観光業界の景気が良くなるというわけだ。

Dorineちゃんの親御さんは困っている。「2週間子供を連れて旅行にでかけ、残りは祖父母のところや親戚や友人に預ける始末だわ」「1ヶ月半で夏休みが済むと楽なんだけど」

Dorineちゃんの弟Basteinちゃん(5歳)のセリフが小学生の気持を代弁している--「学校なんて大嫌い。休みが一番だ」
最も大切な初等教育、日本同様、フランスも悩みは深い。