原発難民---赤プリから追い出され芝プリでは押し切られ

60年代半ばの赤坂は威勢が良かった。東京五輪の64年仕事場が赤坂にあった。TBSが目の前に見える「水戸幸ビル」なるマンションに通って、TV外国映画の日本語版(吹き替えモノ)制作に悪戦苦闘していた。マンションという高級長屋が
登場しだしたのもこの頃だった。水戸幸マンションには一時期、ひばりちゃんが住まっていた位だから、いま流行のマンションとは比べものにならない。当節の億ションだった。裏通りに閑静な花街にはまだ人力車が見られた時代の話しだ。

このマンションから至近距離にキャバレー・ミカドがあったが、61年に開業したものの64年に廃業。短命で終わった。その隣にラテンクオーターがあった。

「赤坂のニューラテンクオーター」(New Latin Quarter)と呼ばれたナイトクラブだ。59年に開業、63年力道山の刺傷事件が起き、一躍名が知られた。入ったことはないが料金が高いのが有名だった。海外から著名な歌手やタレントを招聘したせいでもあろう。ルイ・アームストロング、ナッキングコール、ダイアナ・ロスなどそうそうたる顔ぶれだ。

近くにあったHotel New Japanの末路は惨めだった。82年大火災事件を起こし営業停止、廃業と相成った。New Latin Quarterは全盛期が過ぎたのちも細々と営業していたが、89年店仕舞いした。

赤坂界隈のホテルと云えばプリンス・ホテルの老舗「赤プリ」だろう。今年3月末に営業を終えた「赤プリ」の解体準備が7月から始まる。来年5月着工、約1年かけて解体を終えるという。解体されるのは、地上40階、高さ138.9mの新館だというから、国内最大の解体ショーとなる。福島原発事故の被災者が身を寄せた「赤プリ」。避難者の受け入れを昨日30日で終了する旨発表した。

「いつになったら落ち着けるのか」と避難者から諦めの声。福島の自宅を追い出されてから5箇所目の避難場所「赤プリ」からも出て行かなければならない4歳の長女を抱える男性は「まだ、自宅に戻るつもりはない。根無し草になってしまった」と自嘲気味だ。
没落する「赤プリ」をよそに芝のザ・プリンスパークタワーで東電の株主総会が開かれた。身内の者が出席、主会場で3時間がんばった。株主から私利私欲の発言はなっかたという。原発事故被害者に対する責任追及が大勢を占めた。取材記者が唖然とする。中継画面の画像が不鮮明で、壇上の役員の顔が見えない。1つの意図的仕掛だ。議題が簡単すぎる。
3号議案に株主402名が提案した原発撤廃案があり注目されたが、多数の撤退賛成挙手を数えもせず、委任条を盾に、あっさり切り捨てた。

議長は代表権をもったまま留任を目論む会長の勝俣。今回の事故に対し陳謝したものの「特別損失1兆776億円計上した」との報告に会場から多くの怒号が飛んだ。「道義!」「主語がなく責任が明確でないお詫びだ。勝俣さん、責任を感じているのなら議長は務められないはずだ。責任をとっていただきたい」

議長不信任案動議だ。採決が行なわれた。「賛成の方は挙手願います」と議長。大勢の手が挙がった。「反対の人」こちらも大勢が手を挙げた。「反対多数です」と数も数えず、あっさり否決だ。

大株主の委任条を武器に株主達の肉声に耳を貸さない役員達。人間味のかけらも感じられない。評論家のS氏が「(勝俣会長は)会社のお面をかぶった最悪の社畜だ」と吐き捨てた。
総会会場で気絶する株主さんもいたという。腐臭プンプンのTEPCOのフロント。東電が盗電・倒電に成り下がった。