Win the Future(WTF)は新味のない非キャッチフレーズ?

Obama's State of Union addressの最大のキーワード“Win the Future”だが、95年〜99年までHouse Speakerを務めたGOPの保守派Newton Gingrichが2006年に著した著書“Winning the Future”の題名だ。The Washington Post OUTLOOKはこのように冷ややかにコメントしている。

当のGingrich氏は腹の虫が納まらないのか、自身のブログのなかで“Sadly, there is no Obama plan for winning the future. There is an Obama plan for protecting big government, for pouring more money into broken bureaucracies, for borrowing several trillion more from the Chinese dictatorship”(情けないことに、「未来を勝ち取る」などというがObama独自の構想じゃない。オバマの構想は政府を守り、破たんした官僚政治に湯水の如く金を注ぎこみ、独裁国家中国から数兆ドルもの借金をすることだ)とこき下ろしている。

The Washington Post紙も記者匿名で、「Winning the Futureは、Ronald Reaganの“Morning in America”やBill Clintonの“It's the Economy, Stupid”と同様、陳腐な政治スローガンではないのか? あるいは、過去の遺物として忘れ去られ、受けて手の誰もいないキャッチフレーズとして踏みにじられ、渡る橋とてなく行き止まりになるしかない運命をたどるのか?」と皮肉る。

因みに64年の大統領選に立候補、惨敗を喫した超タカ派のBarry Goldwaterのキャッチフレーズは“In Your Heart, You Know He's Right”
74年stagflationと格闘、Whip Inflation Now(WIN)「インフレに打ち勝つ」と宣言したのはGerald Ford。この計画についてAlan Greenspanはメモワールのなかで、大失敗構想だったとして“The Age of Turbulence”(不穏の時代)の「信じられないほど愚かなスローガン」だったと酷評している。
Jimmy Carterが77年に掲げた“Moral Equivalent of War”(戦いの道義的等価値)は哲学者William Jamesの著書のタイトルからの引用だ。当時のエネルギー危機に終止符を打とうとの自身の挑戦を意図したキャッチフレーズだが、その頭文字をとって“MEOW”と貶された。

2000年大統領選に出馬した一匹オオカミのRalph Naderのスローガン“Government of, by and for the People...Not the Monied Interests”はどこかで聞いた台詞だ。ソックリのコピーではなかったものの、Al Goreの戦いの足を引っ張る結果となり、リベラル派から激しい非難を浴びた。

そして2008年の大統領選にVietnam戦争での輝かしい戦歴を引っさげ、“Country First”(まず国家ありき)と愛国心を売り物にObama氏に立ち向かったJohn McCain氏も敢え無く破れた。

トップリーダのCatch Phraseはとかく物議を醸し、批判に曝されるものだ。それだけ現実は甘くないからだ。後知恵や批評は楽なものだ。