The State of Union AddressとA Speech on the Administration Policies--呼称の違い以上の大きな違い

先日のPM Kanに限らないが、我が国Premierの国会開会における施政方針演説の情景ににはいつもがっかりさせられる。まず拍手とヤジ合戦が不愉快だ。

それにもまして内容の空疎さには政治音痴の国民もシラケル。おまけに、Premierは演題の原稿を見っぱなし。まるで朗読か代読みたいだ。
急場にスピーチを依頼され誰かに原稿を作ってもらったわけでもあるまい。何も原稿なしでやるべきだと云うわけではないが、自ら原稿を書き推敲し、完成したものであれば内容の多くは自然と頭に入り、あれほどまでに下を見ずとも済むはずだ。キャッチフレーズやキーワードを織り込み、議場の反応を感得しながら間合いを取ることもできる。議員との距離感ももっと縮まる。

日本の政治家、特にPMには専門のスピーチライターはいないのか? 首を傾げたくなる。
あのJFKが名大統領、名演説家と言われたのは優れたspeech writerを抱えていたからだ。内政・外交など政治問題については知る人ぞ知る著名な政治記者Theodre Sorensen、農業問題に経済学者J.K.Galbraith、ギャグライターにDannye Kayeという豪華顔ぶれだ。

26日のPresident Obamaの一般教書演説もそうだったが、2009年1月の大統領就任演説を初めとする主要なObama's addressはJFKの名スピーチを髣髴させるものがある。“The future is not a gift. It is an achievement.”もJFKの名文句からの引用だ。
Obama Addressの背景にJFKの影がある。それもそのはずだ。昨年10月30日他界したJFKのスピーチライターSorensen氏だが、Obamaの大統領就任演説(The Inaugural Address by President Barack Hussein Obama)について次のように評している--

“I thought it was a magnificent, historical speech....Obama's wording was terrific. Just like JFK, he doesn't speak down to people. He treats them an educated adults”(素晴らしい歴史的名演説だった。ケネディ大統領同様、彼の表現には国民聴衆へのお説教染みたものは見られない。国民を教養ある大人として扱っている)
故T. Sorensen氏はJFKの1963年の“Ich bin ein Berliner”出始まるBerlin Addressの作成者として知られている。



その弟子のAdam Frankelが今度のObama Addressの共同スピーチライターの一人として加わったに違いない。
そして、Obamaのspeech writerの主任スタッフはJohn Favreau(29歳)。Frankel氏も同じ29歳だ。


Obama氏は驚くべき若き鬼才たちの助言をもとに、full textを仕上げたわけだ。1時間以上の演説中、彼は用意した完璧なtextを一度も見ない。議場の反応との双方向性ともいえる情景を見れば、Obama氏が原稿をただ丸暗記して臨んでいるわけがない。あの多岐に亘る内容を自分のモノにしているのだ。
ところで、Obama's Addressの中にキーワードは二つ見られる。一つは“Win the future”そして“We do big things”だ。
この“We do big things”についてRev. Al Sharpton(アル・シャープトン牧師)がコメントを寄せている。

“One of the central themes in President Obama's State of the Union address,'We do big things' was a reminder to all of the strength, character and ability of the nation.”(オバマ大統領の一般教書演説の主要テーマのひとつである≪We do big things≫は、我が国民の力と国民性と才能の全てをもう一度呼び覚ますものがあった)
Rev Al Sharptonは2004年米大統領民主党予備選に立候補したバプティスト派黒人牧師。2009年6月急逝し世界に衝撃を与えたMichael Jackson Memorial Service(マイケル・ジャックソン追悼集会)における同師による次で始まる感動の名Tributeはまだ記憶に新しいものがある。


“All over the world today people are gathered in love viduals to celebrate the life of a man that taught the world how to love”(本日世界中から人々が、如何に人を愛するかを世界に教えてくれた一人の人物の生涯を祝福するため愛を携えここに集っている)

長年の友人であるMichaelへ感涙を誘うtributeを届けたったAl Sharpton師だ。それだけに同師のObama's Addressに対する簡潔な論評は傾聴に値する。
我が国のPM's Speechはどうか。ワンフレーズが売り物のex-PM K氏は「抵抗勢力との闘い」を宣言、PM Kanは“熟議”“第二の開国”“審議拒否は国家への反逆”などと威勢がいいが刺々しく空疎な言葉を並べた。
我が国以上にネジレの上下両院を抱えるObama氏のAddressにはGOPに対する挑戦的・挑発的レトリックはなかった。