クルマ攻めで動きが取れない北京

夕刻のBeijing(北京)、ラッシュ・アワーのクルマの渋滞は凄まじい。平均時速24.2㎞、自転車並み?のslow down、ノロノロ運転を余儀なくされている。そのTraffic Jamは世界20の首都のうちMexico Cityと肩を並べて最悪となった。


北京当局も必死だ。市内の駐車場28万箇所、560㎞に及ぶ新たな地下鉄網、首都高とバイパス200㎞、さらには37㎞の地下歩道の建設など現代の最新技術をフル投入したと自慢している。




「高架交差のハイウェイも網の目のように建設した」と中国都市建設計画研究所の都市交通専門家。「地下鉄とバス路線への投資額が厖大だ。そのうえ、北京のバス料金は世界最安だろう。にもかかわらず、自家用車の購買欲には叶わない」と嘆く。

オレンジ・ブラウンのHyundaiの新車を器用に流している26歳のtaxi driver曰く。「道路建設のスピードなんて市民のクルマ購買のスピードの足元にも及ばない」「購買欲には歯止めはかからないよ」

次の数字を見ればtaxi driverの指摘は肯ける。12月現在、北京の登録車台数470万。1日2000台新車か中古車を市民が購入している割合だ。今年は年間700,000台増加した。去年は550,000万台、一昨年は367,000台、その前の年は252,000台。年々クルマの購買台数がどんどん増えている。
この現象は中国の経済躍進と無縁ではない。今年、中国人家庭のほぼ三分の一が、年収5,000ドル〜15,000ドル、同国の中流階層の部類に入るという。
ボク自身、阪神淡路大震災の起きた1995年3月、初めて北京に出かけた。北京空港からダウンタウンに通じるstreetsの広さと、クルマ・自転車・徒歩が入り乱れながら一見整然と動く大都市の凄さに驚いた。今から15年前のことだ。当時からtraffic jamの様相を呈していた。その後たびたび北京を訪れ、急速な変貌、特に高層ビルの建設ラッシュに目をみはり、上海に足を運べばまるでNY Cityのsky scrapperと見紛う。交通渋滞と人人人に仰天した。


二年前のBeijing Olympicに向けて中国は大気汚染を抑制すべく、traffic jamの解消、自家用車の市内乗り入れ制限を行なった。
が、あの当局の強権的環境改善の取り組みはやはり北京五輪向けの一時的デモンストレーションだったのか。ここ数年北京や上海にでかけていないから、current situationはわからない。
現実は深刻だ。当局の北京の道路などインフラ整備が市民のクルマ買いのスピードに到底追いつかない。

異様なtraffic jamは70年代の日本の主要都市の風景を髣髴させる。三分の一が中流・・残りの三分の二はどうなのか?
今や世界の超大国としてGDPで日本を追い抜き、米国を脅かしつつあるChinaだが、悲惨な影の部分が隠されているのが現状だ。