GOPとObama、がっぷり四つ

The Midterm electionで下院圧勝のGOPだが、米国人のhearts and mindsを掴んだかというとそう楽観視できない数値が、Washington PostとABCの最近の調査で明らかになった。

下院で63議席を制し、上院でも6議席上乗せ、President Obamaにお灸をすえたものの、直面する内政の主要課題の処理についての国民の信頼度はわずかながらGOPよりもBarack Obamaの方が高く、43%対38%。最近の政界での指導力に関してもObama43%,下院のGOP42%、僅差ながらObama氏にリードを許している。

中間選挙以来lame duck(死に体)の米議会も余すところ2週間。年が明ければ下院議員数ではGOP勢力が圧倒的だ。とはいえ、2012年のthe presidential candidate選びに向けてすでに助走しているGOPだが、最大の悩みは目ぼしい候補が見つからない点だろう。

一方、President Obamaに対し著名なアフリカ系米人文学者Ishmael Reedが忠告している。同氏は詩人でエッセイスト、小説家でもあるが、米国の政治文化を舌鋒鋭く批評する諷刺家でもある。

彼は“It's risky for a black man to express anger---even the coolest man in the room.”(黒人にとって怒りを表現することはリスクを伴う--たとえその人物が自室で冷静沈着そのものであっても)と明言している。
Reed氏は体験談を打ち明けた。「ある進歩派の指導者に向かって、『Tea Partyの中にはネオ・ナチが含まれホロコーストを否定する者がいる』と言うと、彼は私を“おメエは意地の悪いヤツだ”と叫んだ。「彼は、『Tea Partyは米国金融街に叛旗を翻す草の根運動だ。ChicagoでTVを利用して自己宣伝するObama大統領に対抗する推進力となっている』と信じて疑わない」

黒人は得てして礼儀作法を欠いているとReed氏は指摘する。その上で、「進歩派は『大統領はGOPを前にひるむこと無くシャキッとして男らしく振舞え、馬上のJohn Wayneのように左右の鞭を振るうことだ』と促し、共和党についてHarry Trumanは拍手喝采を背に絶叫した。あの格好を見習うべし』と言う」


「万が一、President Obamaがそのような態度をとることになれば、白人の底知れぬ憎悪により怒れる黒人司令官として無視されるだろう。途端に彼の成績はBからDへと真っ逆さま、大低落だ」

「進歩派が忘れているのは、知性派黒人は100年以上にも亘り、偏執狂・冷酷・乱暴・怒りっぽい・意地悪などと呼ばれ、長広舌で痛烈な皮肉屋などと非難されてきた事実だ」
そして次のReed氏の指摘はObama氏にとって見のがせない--
「進歩派は大統領に対する揺るがぬ支持者は黒人とヒスパニックである点を見過ごしている。いま彼らは、大統領は凄いゾと叫びながら、影で反感の言葉を呟いている。Jimmy Carterを敗北に追いやったのはこの種の黒人の態度だ。それが黒人票を永遠に失う道につながる」

「大統領は、シカゴの失業者の中で仕事をしていた“the coolest man in the room”であるだけに、自身もよくわきまえているはずだ」


Reed氏のコメントのキーワード“the coolest man in the room”の意味こそ氏の論調の真意を解く鍵だが・・。