《続》Suu Kyi女史−−Dawと呼ばれて意気軒昂

昨日7年半ぶりにhouse arrestを解かれたSuu Kyi女史を14日付The NY Timesは“Burmese Dissident”(ビルマの反体制活動家)と呼び、次のように伝えている。
“One day after being freed from house arrest, Myanmar's pro-democracy leader, Daw Aung San Suu Kyi, addressed a wildly cheering crowd of thousands of supporters Sunday, saying she was listening to their needs and telling them not to give up hope”(自宅軟禁を解かれた翌日の日曜日、ミャンマー民主化指導者、アウン・サン・スーチー女史は、歓呼で迎える数千名の支持者たちに訴えた。『私は皆さんの希求に耳を傾ける。皆さんも希望を捨てないで欲しい』)

もう65歳になったスーチー女史。その名前の由来をひも解いた。Aung Sanは知る人ぞ知る父の名。Suuは祖母の名、Kyiは母の名だ。Burmaにはsurname(姓)というものがないと言う。さらにこの名の前に付けられているDawだが、敬称Madam、文字通り言えばaunt(叔母さん)、愛称でもある。Burmaでは通例、頭にDaw....を付し、《スーチー叔母さん》と呼んでいる。

Suu Kyi女史は支持者に呼びかけた。“The basis of democratic freedom is freedom of speech. ”(民主的自由の根幹は言論の自由にあります)
女史の釈放と間髪を入れない政治的メッセージ、政治的闘いは、彼女を7年以上も幽閉し、民衆から遠ざけていた軍政との衝突に発展するかもしれない。

女史のメッセージは明快だ。
“Democracy is when the people keep a government in check. I will accept the people keeping me in check.”(民主主義は人民が政府を絶えず監視することにある。私も国民の監視を喜んで受け入れる)
そして“You have to stand up for what is right”(皆さんは正義を擁護しなければならない)と付け加えた。
Suu Kyi女史は当面、軍政に対し批判を避け、柔軟姿勢をとり(双方向性の)対話を促し、相手の出方を窺っている。

「マイホームの幸せよりも祖国の不幸な同胞の為に、民主主義と人権と自由の為に、非暴力抵抗の闘いに身を投じたスーチーさんの魂の崇高さと、祖国愛に打たれない人はいないだろう」
Suu Kyi女史がNobel Peace Prizeを受賞した19年前の91年、夫Michael Aris氏が編纂した著書“Freedom From Fear: Aung San Suu Kyi”のあとがきに記された瀬戸口寂聴さんの言葉だ。寂聴さんは「『自由』の重さ」と題して「スーチーさんの友人知人は、彼女が女闘士だけでなく、潔癖で好奇心が強い、そしてユーモアを解し、感受性の豊かな魅力ある人柄について語っている」と付け加えている。
Suu Kyiさんは「正義のないところには、安全と平和はありません。・・・
ビルマ人は涼しさと蔭から、平和と安全を連想します。
  木の陰は実に涼しい
  親の蔭はもっと涼しい
  師の蔭はさらに涼しい
  王の蔭はそれにもまして涼しい
  けれど
  どんな蔭より涼しいものは
  仏陀の教えである
ですから、人々に平和と安全をもたらすためには、為政者が仏陀の教えを守らなければなりません。その教えの中心にあるのは、真実と思いやりです」
為政者の軍政はSuu kyi女史を《西欧被れした人物》と烙印を押すことが少なくない。が、あの3年前の夏の仏教徒、僧侶たちの反政府デモはなんだったのか。

President Obamaは“She is a hero of mine, and a source of inspiration for all who work to advance basic human rights in Burma and around the world”(彼女は我がヒーローだ。ビルマのみならず世界において基本的人権の推進に力を注ぐあらゆる人たちに霊感を吹き込む源泉となっている)とSuu Kyiさんを尊敬している。
幻の女性宰相として終わるのか。それとも、またもや幽閉の身に戻されるのか。Madam Aung San Suu Kyiにとってこれからが正念場だ。