重すぎるex-President Bushのツケ

mid-term electionが近づくなかで、雇用情勢の悪化など一向に好転しない国内経済を中心に内政問題をめぐり保守派から集中砲火を浴び、苦悩するPresident Obama。「隣人の住宅ローンのツケを払うのになぜ我々の税金をつぎ込まなきゃならんのだ!」まことに単純な論理。Barack Obamaをまるでsocialist呼ばわりだ。

米国は富の分配を極度に嫌う。特に白人中間層、中流階級にその意識が顕著だ。American Dreamとは悪く言えば“弱肉強食”にあるんじゃないか・・?
内政面、リーマン・ショック前のマネー・ゲームを方向転換させ、景気建て直しを図らんとするものの、思いのほか壁が厚い現状に直面し支持率が低迷するBarack Omama氏が前政権のツケだと言いたくなるのも理解できる。
前政権の“負の遺産”の典型はWars Against Terrorだろう。


不朽の自由作戦」(OEF=Operation Enduring Freedom)の名の下にG.W.Bushが米英軍主導でAfghan攻撃を開始したのが2001年10月。早や10年目に入ろうとしている。

2ヶ月間でタリバン政権を崩壊させ、2003年3月Iraq侵攻を開始したBush氏だが、早くも翌2004年6月、The Washington Post紙は米軍部隊が“Losing Hearts and Minds”と警鐘を鳴らす。バクダッドの民家のあちこちの壁に“US. Army Go Back Home”の落書きが見られる。

昨年1月に誕生したObama Administrationは今年8月イラクからの戦闘部隊を撤退。同時にAfghanへの増派を完了させた。
が、イラクからの米軍部隊の撤退は余りにも遅きに失した。バグダッド大学の某教授は「米国はイラクをテロリストに開放し、自らテロに立ち向かうのではなく、イラクがテロと向き合わなければならないようにしてしまった」と強調する。G.W.Bush氏が高らかに宣言した“War Against Terror”は口先だけだったわけだ。


バグダッド大の政治学部長は「テロとイラク政府の不在とは直接関係がある」と指摘し、「米国の存在はテロを食い止めるどころか、逆に増長させてきた。米政府はイラクの治安部隊を訓練し、テロと戦う武器を供与したと言っている。しかし、必要のなのは強力な政府組織と国民が求めるサービスの提供、市民と政府の信頼関係であり、市民が失業の不安なく、尊厳をもって生活できることだ」と語っている。


やはり米国に“Hearts and Minds”が欠け、smart powerが不足していたからだろう。泥沼化の中で惨めな撤退、停戦に追いやられたあのVietnam Warを髣髴させる。
今や事態は『オバマの戦争』(Obama's Wars)に移っている。今日も目下注目されているBob Woodward氏の同著のCDが届いた。まだ中味を見ていないが、朗読はAtlanta生まれの舞台役者であり映画・TVでも活躍中のBoyd Gaines氏だ。


いま波紋を広げている同著の基調は、Afghanの現地司令官David Petraeusの個人的感想とも言うべき“I don't think you win this war. This is the kind of fight we're in for the rest of our lives and probably our kids' lives”(この戦争に勝ち目はない思う。我々が余生をかけても、さらに子供たちの世代になっても終わらない性格の戦いだ」の言葉に集約されてる。

Vice President Joe Biden氏が「AfghanはVietnam Warの二の舞になる」と憂慮し、駐Afghan米大使も「米国はしくじっている」と警告している。
President Obamaに対するBush氏の失政による数あるツケのうち最も重いのがIraqのその後とAfghan“戦争”だろう。
アフガン政権が反政府勢力タリバンと停戦合意に向けて秘密裏に交渉を始めたという。The Washington Post紙の報道だが、米国務省はこれを「和解プロセスとして支持する」とコメント。スムーズな進展を楽観するのは禁物だろうが、Obama's Warsが少しでも解消に向かわないものか・・。

「東西ベルリンの壁崩壊20周年」に因んで、いつのことになるか知れぬが後世において「“War on Terror”終結・・周年」と祝福の声を聞きたいものだ。

本日のAP電、“U.S. uncertain as war enters 10th year”のHeadlineが空しい。“$ For Jobs & Schools / Not War”のプラカードを掲げたデモ隊がハリウッド軍事基地の周辺を取り巻いている。