睡魔に襲われたか?Interstate 15

米国Interstate 15で惨劇が起きた。


月曜夜、Utah州Cedar City近くのIron County(鉄郡)を走行中のVan(小型観光バス)が、牧草地帯に横転どころか裏返しに引っくり返っている。日本の旅行会社が企画したパック旅行客14人が乗っており、3人が即死。残りの多くはSalt Lake Cityの病院にヘリで搬送されたり、Cedar Cityの病院に運ばれた。なかに重体者もいるという。

Interstate Highwayといえば、GreyhoundやTrailwaysの長距離バスが馴染み深い。28年前の82年、この廉価なバス周遊券を手に米国を一人旅したことを思い出す。当時は主に東部と南部を旅した。

米中西部へは97年三月末に出かけた。一週間足らずだったが、Utah州Provoの姉妹校に出張した。Provoは州都Salt Lake Cityの南69kmに位置するLDS(モルモン教)の聖地だ。no smoking, no alcoholはもとよりcoffeeもteaもだめ、まさにno drinkingの土地だ。圧倒的な白人社会で保守色が強いが善人が多く治安は良い。
13年前、Provoでの所用を終え、朝早く知人の車で同乗しLas Vegasに向かった。そのとき突っ走ったのがInterstate 15である。上下二車線、中央分離帯は草地になっている。場所は西部、左右は荒涼たる平原、崩れ落ちた家畜の納屋を見かける以外、風景に変化はない。これぞAmerican Westernの典型、西部劇のシーンを思い浮かべるともなく、睡魔に襲われるほどのboringな道中だった。

Vegasへ行く途中、Native AmericanのReservationsの近くに立ち寄り、まずBryce Canyon National Parkにのぼった。四方八方赤茶けた断崖の渓谷である。若干Grand Canyonに似ている。

次にZion National Parkに入った。たまたま随分前になるが我が家の近くにある多摩六都館の巨大スクリーンで観て圧倒されたことがあるのがこのZionだ。現地の人にはGrand Canyonより人気のある巨大なで深遠な渓谷+森林である。

Utah州では最も歴史があり、2000年前古代プエブロの居住跡が残っている。1860年モルモン教信者が棲みつきZionと名づけられた。シオニズムの香りがする、この大渓谷の景観を訪れる旅人は1920年代、4000人程度だったのが96年には250万人を記録したという。
我が国の旅行業者が新たな観光ルートとして売り出しているのも無理もない。

今回悲劇に遭遇したツアーだが朝早くLas Vegasを出発し、Zionを経由してBryce Canyonを目指していたようだ。そのまま北進してSalt Lake Cityに向かう予定だったのか、それともVegasに戻る日帰り旅行だったのか。

現地メディアは大きく取り上げ、警察も眼もあてられないほどのこれまでにない大惨事だと驚きを隠さない。
事故原因は不明だが。Interstate 15は見通しは良い。片道二車線も広く渋滞はまずない。中央分離帯もたっぷりスペースがある。vanにも問題はなかったようだ。すると問題はドライバーだ。ドライバーがただ黙々とハンドルを握り猛スピードで飛ばしていたいたとすればどうだろう。景色に何の変化もないなかで、眠気に襲われ運転ミスと相成ったのではないだろうか。ドライバーは日本人だったらしい。