[経済][国際情勢]凜としてChristina Fernandez
我が国の雇用動向は改善の兆しがみられない。総務省の最近の労働力調査結果は暗い。6月の完全失業率は5.3%、前月に比べ悪化。とりわけ酷いのが15歳〜24歳の雇用情勢だ。11.1%の失業率、前月比0.6%高くなっている。

先日でかけたAustraliaの失業率が5%だと聞いた。現地の人々から不況感が感じられない。なにしろ広大な国土だ。Western Australiaを中心に、第一次産業の鉱山発掘、鉱業生産物の輸出が同国の経済を支えているようだ。もっとも、目下Aus$80円、円高基調が続いている割には現地の物価、特に食品は高い。
国の成長戦略、経済政策といえば解任されたDiego Maradonaを支持・擁護するArgentineのChristina Fernandez大統領の存在が面白い。
Argentineは2001年950億ドル(約8兆円)に及ぶ国債のdefault(債務不履行)に陥った国としてよく知られている。当時資金運用を狙いにArgentine国債を買っていた企業や法人が大損失を被ったのは記憶に新しいところだ。

長年にわたるペロン派の独裁政治から2003年政権を奪還したのがChristinaの夫
のKirchner大統領。ファーストレディとなったChristine夫人が、2007年10月夫のあとを受けて大統領選に出馬し、選挙で選ばれた同国初の女性大統領となり話題となった。
このChristineさんだが、債務危機をめぐってにギリシャで起きた混乱、抗議行動、暴動について、「TVでみるこうした様子は2001年当時の我が国の状況と酷似している」とコメント。そのうえで、IMFEUによる歳出削減策はアルゼンチン危機の際に示された措置と“ほぼ同じ”との認識にたち、「旧来型の処方箋の提示を繰り返す国際的な多国間融資の貸し手は、世界で何が起きているかをいまだに認識していない」と直言した。
歯に衣を着せないChristine Fernandez大統領だが、口先だけのリーダーではなく、次々と施策を打ち出す行動派だ。
28日、首都ブエノスアイレスで演説し、この9月から年金支給額を16.9%引き上げると発表した。年金の引き上げは今年になって二回目だ。同国の一人当たりのGDPは日本の六分の一強と弱い。同国は世界金融危機の影響を受けながらも、国家経済の強化をはかり、昨年の実質GDP成長率は0.9%と大奮闘している。

Christina大統領は、年金の引き上げは「国民への税負担を強めることなく、経済成長によって実現した」「より平等、公正で、権利を保障する国へと進もう」と呼びかけている。
新自由主義の下、2001の経済危機で無年金者が大量に発生したArgentineを2003年Kirchnerの革新政権が誕生し、それを受け継いだ現女性大統領が国家の改革を推進、無年金者をなくす年金改革法を成立させ、最低年金の保障を実現した。

どこかの国の政治家たちに申し上げたい。やれ“ネジレだ。駆け引きだ”などと政局ごっこコップの中の嵐に終始している場合じゃなかろう。