一寸先は闇

昨夜から今朝にかけてTVはHouse of Councillors electionの垂れ流しNewsで一色だった。今日の朝刊一面は“民主敗北 衆参ねじれ 首相続投「消費税説明が不足」”との大見出し。与党過半数割れでDPが第一党となり“Your Party”『みんなの党』なる新党(珍党)が大躍進した。

某紙は≪消費税増に厳しい審判≫と決め付けているが果たしてそうか。消費税はa (general)consumption taxとかan excise taxとかa sale taxとか英訳されている。どれが最も適訳かはさておき“消費税増に厳しい審判”が今参院戦の核心だとすれば、JCPやSDPなどがもっと伸びてもいいはずだ。議席を減らし、泡沫小党に陥落寸前ではないか。
確かに今度の参院選はPM Kanの消費税に関する舌禍を境に状況が変わった点は否めない。が、主たる要因はそれだけとは限らない。

日本の国政選挙はほとんとがイメージ選挙、ムード選挙に彩られる。いわゆる無党派層(voters with no party affiliation)をいかに取り込むかだ。
無党派層は浮気層だ。普段は政治音痴、政治無関心でムードとイメージに弱い。彼らにとって国政選挙は一種のお祭りだ。
いつかの日本新党ブームほどではないが、Your Partyが伸びたのはDLPを飛び出したY.W氏がAgendaなどという聞き慣れないkey wordを駆使して、聞き飽きたmanifestoを圧倒したからだ。ストレートで短いphraseが無党派層には受ける。くどい説明や釈明やお涙の絶叫は反ってマイナスだ。
Ozawa ladiesが敗北しあのKoizumi ladiesが返り咲いた。

選挙のbattlefieldは終わった。川島正次郎氏の名言を借りれば、「政界は一寸先闇」である。
2010 FIFA World Cup South Africaも終わった。今大会負け無しのNetherlandsが優勢だとみて応援していたが、延長後半SpainのMF Andre Iniestaに決勝ゴールを決められ、初のWorld Championを逸した。

初めて決勝に進出したSpainがW杯を高々と掲げた。



Netherlandsの世界の名ストライカー, Wesley SneiderとAzjen Robbenの目に涙が浮かぶ。



名将Bert van Marwijk監督は首に掛けられた銀メダルを無表情のまま外した。

FIFA World Cupも“一寸先は闇”である。

     Darkness lies on inch ahead.
It's all darkness one step ahead.
One inch ahead it is pitch dark.

前述の元米国務長官R.McNamara氏は「“Fog of War”(戦争の霧)というすばらしい言葉がある。戦争は複雑で、すべての変化を読むことは不可能という意味だ。我々の判断力や理解力には限界があり、不必要な死者を出す」「私は戦争を無くせると信じるほど単純ではない。人間の本質は簡単には変わらない(You can't change human nature)。「人間には理性があるが理性には限界がある」と語っている。





その上で同氏はT.S. Elliotの「人は探求をやめない。そして探求の果てに最初の場所に戻り、初めてその地を理解する」という言葉で“Fog of War”の語りを結んでいる。

今回の参院選FIFA World Cupも霧の中を潜り抜け、結果にたどり着いた。
Vietnam Warも含めて、三種のbattlefieldsが存在した。全く世界は異なるが、探求をやめることなく、新たな原点を突き止めるべきだろう。