内憂外患か非常事態か

foot-and-mouth disease(口蹄疫)の感染拡大に慄く現地。せめてエース級牛(prized stud bulls)49頭については経過観察を懇願しているが、農水省は特別扱いに難色を示し、早期処分を求めている。

普天間基地の移設問題も現地と政府間での温度差は埋まらない。“最低県外へ”を撤回し、辺野古沿岸への移設を念頭に日米間交渉に入る予定だ。PM Hatoyamaらは釈明の都度、緩衝材として“沖縄の負担軽減”を口にするが、為政者は現地住民の痛みや不安が実感できていないのは明らかだ。
ボクの部屋の窓を開ければ、すぐ目の前に小学校がある。放課後子供たちが遊んでいる。六時を過ぎたが職員室の明かりがみえる。もし上空を頻繁にヘリや米軍機が飛来しているとすれば遊びも仕事もオチオチできたものじゃない。これも65年前の敗戦のツケか。Under the umbrella of The U.S. militaryの時代はいつまで続くのか。政権にあるものはそろそろ真剣に考えなきゃならんだろう。

誰かが元防衛相に「アメリカに対するゴマすりはやめろ」と噛みついていたが、あながち暴言とも云えない。
政権が代わったものの、“善政”と呼べるほどの見るべきものは少ない。
いま国内を揺るがしている口蹄疫への対応と沖縄米軍基地の移設問題。これを内憂と云うべきか外患というべきか。いずれにせよ、非常事態には違いないのにその危機意識が政府には希薄に思えてならない。

米国の非常事態といえば、メキシコ湾で4月以来起きている原油流出だろう。商務省が湾岸のルイジアナミシシッピー、アラバマの三州に「漁業災害宣言」を出した。流出の原因は海上石油堀削基地の爆発事故の発生による。採掘権をもつ国際石油資本が油井からの原油流出を食い止める作業を行なう予定だが、薬剤による環境汚染の心配もあり、米政府は経済被害の責任は掘削元の英石油大手BPにあるとの立場をとっているが、地元州や地方自治体は連邦政府の対応の甘さを批判。President Obamaは先週、原油流出に関する大統領委員会を設置し本格的調査を指示した。


米DP政権にとって気になるのは今秋の中間選挙だ。Barack Obamaの出身地Hawaii州で異変が起きた。同州下院議員補選において、20年間磐石の民主党地盤ホノルル地域で共和党候補者が勝利した。AP通信は“Blue Hawaii gets res tint”(ブルー・ハワイがレッド色に)のヘッドライン。この結果について、DPは今秋11月中間選挙に向けてのレッド・カードにはならないと弱気を見せていないが、イエロー・カードには違いなかろう。
いささか弱気といえば、北朝鮮問題協議を中心に目下訪中しているHillary Clinton国務長官だ。難問山積の国際情勢への対応に奔走する多忙なスケジュールのなか、The Shanghai World Expo 2010に出かけて一息つき、躍進中国上海に注目。中国当局はこの世界博は世界の平和大国として、経済面や科学分野に安定的な発展過程にある中国の見本市になればと願っている語る。一方、このExpoの感想を訊かれたHillary Clinton氏「かつてのSt. LouisやNYのExpoを想起させる歴史的に意義ある世界博」と称賛。

が、肝腎の自国のパビリオンの出来具合については冷めた調子で“It's fine”(いいんじゃない)とひと言。関心が薄いのか弱気なのか。内憂外患だ。