“宙ぶらりん”のUK新政界地図

6日に行なわれたUK総選挙。予想通りGordon BrownのLabour Partyが前回選挙より議席を約100票減らし大敗、第2党に転落。David Cameron党首のConservative Partyが第一党に返り咲いたものの、議席数306で過半数326に届かず、単独で組閣できない。
これまで保守・労働の二党が互いに政権交代を繰り返してきたUKでは36年ぶりの異例のHung Parliament(宙ぶらりん議会)となった。

本日のThe Timesは“David Cameron has earned the moral right to govern”(キャメロン党首は政権を担う道義的権利を得た)。“Cameron is ready to do business”(キャメロンはいつでも仕事に就く用意は出来ている)と、保守党支持のメディアらしくCameron政権誕生を待望するが、57票の議席を獲得した第3党The Lib Dem's Nick Glegg(自由民主党党首ニック・グレッグ)の出方が大変気になる。

ToryのCameron党首は早速、LDに連立政権協議を呼びかけた。連立により「強力で安定した政府が早急に必要だ」と強調しているが、小選挙区制度を巡ってToryとLDには立場の違いがあり、連立協議は難航する可能性があるという。
敗退したLPのG.Brown氏は両党の連立合意がまとまらなければ、LDはDMと協議する用意があるとしていまなお、権力維持に向けて執念を見せているが至難だろう。

ところで保守党支持の論調が露骨なThe Timesだが、世界を揺るがしているGreek経済の破たんに対するAngela Merkel独首相の姿勢を高く評価している。Merkel首相は国民と議会に対し熱弁をもってGreek救済の重要性を説いた。野党の激しい反対をもはねつけ、“This is nothing less than the future of Europe---and with it the future of German in Europe”(ギリシャ救済はヨーロッパの将来に劣らず死活問題だ。さらにヨーロッパに於けるドイツの未来に劣らず重要だ)として、三年間で総額€224億を融資するべく議会を通過させたいと言明した。
The TimesはMerkel首相の断固たる決意と選択を引き合いに出し、The Directors' Choice(トップリーダーの選択)と題して、英国ビジネス界での自紙The Timesの占めるステイタスをる宣伝(喧伝)している。

British Business Surveyによれば、“The Times is the UK's No 1 quality newspaper for business people. It has 84 per cent more business readers than the Financial Times and 76 per cent more than The Daily Telegraph”
“Times Online has 35 per cent more people using the site than FT. com”
「タイムズ紙はビジネスマンにとって英国一の高級紙。ビジネスマンの読者数はFinancial TimesやThe Daily Telegraphをはるかに凌ぐ」


「オンランのサイト利用者もTimesがFinancial Timesより35%多い」云う。
発行部数はThe Daily Telegraphが920,000部とトップ。The Timesは620,000部、The Gurdian 400,000万部、The Independent 230,000部といわゆる高級紙は部数が落ち、Online頼みになりつつあるようだ。

余談だが発行部数トップを自認するThe Daily Telegraphだが、ゴシップ記事が他紙より多く文章も平易で、タブロイド版の保守的大衆紙デイリー・メイルの論調を擁護しがちだと指摘されたこともある。そのため、Daily Torygraph(保守党日報)とかMaily Telegraph(デイリー・メイル通信)などと揶揄されているから面白い。
The Daily Telegraphはさしずめ米紙のUSA Todayというところだろう。