別れ・追憶

昨年八月、医師からterminal cancer、余命半年を告げられた親友が一週間前に亡くなった。35年間家族ぐるみで親交のあるNZの敬愛する一家の長女だ。享年71歳、早すぎる。姉御肌で実に世話好きの善き人だった。

ご主人と毎年海外を旅し、自らもB&Bを長く営んでいた。欧米、アジアなど友人が世界中にいる。まさに国際人だった。
11月初めのある日、家族で見舞いに訪ねた。その日彼女は体調が良かったせいか、病人と思えないほど快活で元気だった。帰国を前にして、彼女の母親に逢いに行った。90歳、家族からgreat Mumと呼ばれ、意気軒昂に自前のgardenを案内してくれた。お暇をするときに“We do hope she'll be OK ”と励ました。
老母の答えは“Thank you so much. Heaven....”、≪神の思し召し次第・≫であった。抗がん治療中にあった彼女から帰国後、医師の診断結果を受けてボクたちに喜びに満ちたa good newsが届いた。「治療の効果があらわれ、余命が2年延びた」という。が、付き添っている末妹からは「転移は早い」とのメールだった。
やはり、11月の逢瀬が終の別れとなってしまった。
2/11日(木)最後の日の妹からのメール--
“I have been able to be with her so much over the last few months and everyday since last Thursday we have had a wonderful, wonderful time together. Lots of laughs, hugs, kisses & tears but now she is in heaven with Lord so that is WONDERFUL.”
最期を看取ったご主人からのメールは--
“It was a very peaceful parting”だった。

parting(別れ)についてH.W.Longfellowは語っている--
They who go
Feel not the pain of parting: it is they
Who stay behind that suffer.
(逝く人は別れの苦悶を覚えず。煩悩の彼方に住まう人だから)
次のようなThomas Mannの言葉がある---
“A man's dying is more the survivors' affairs than his own”
(人の死は、その人自身よりも残された者にとっての大事だ)
数年前のお正月に、いまでは故人となってしまった彼女からDalai Lamaのmantraが転送されてきた。Just a short Buddhist outlook on lifeとある。仏教徒のささやかな人生観のようなものが20編書かれていた。そのなかの次のような短文を若者に紹介したことを覚えている。
 Follow the three R's:
Respect for self
Respect for others and
Responsibility for all your actions.
因みにこのthe three R'sだが、NZの姉妹校の掲げるBehavior Codeに酷似しているが、三つ目のRがRespect for propertyとなっている。
 Spend some time alone every day(一日に少しでも孤独な時を過ごすこと)。現代人にとっての箴言である。
 A loving atmosphere in your home is the foundation for your life.
Once a year, go somewhere you've never been before.
一昨年、定年で仕事の一線から身を引いたのち、心が得ているつもりたが、耳が痛い・・・。
Dalai Lamaが訪米。世界注視のもと、中国当局の警告を押し切りPresident Obamaが同氏と会談した。Obama氏はChinaに配慮して、会談場所をThe White Hosuseの私室を使ったが、早速中国は不快感を表明し、報復措置をちらつかせている。
某僧侶は会談の実現を大歓迎だ。“This is great news for the Tibetans. We don't care that it makes the government angry. It makes us very happy that Obama met him ”(チベット人にとっては素晴らしいニュースだ。中国政府のご機嫌を損ねようとも構わない。オバマ氏がダライ・ラマと会談したことは我々にとって大変な朗報だ)
折りしも、会談日の木曜日はチベット人にとって旧正月の祝日だった。

逝く人といえば、藤田まことさんの急逝には言葉もない。子供の頃、道頓堀角座での見事な声帯模写と歌のうまさに舌を巻いたものだ。惜別。
上方のお笑い芸人は何故か歌手顔負けの歌上手だ。藤田まことさんが“森の光ちゃん”と呼んでいた森光子さんも往時の「漫才学校」では歌の上手い学校教師で通っていた。
旧き良き時代の追憶はモノクロとなって脳裏をよぎる。