Old Cowboy(老カウボーイ)は今なお存在する・・?

人間も70歳(古希)を過ぎると、自分が何たるかが解るというが、如何なものだろう?
カーボーイ・ハットの皺深い爺さんが、Starbucksで注文した珈琲をチピリチピリすすっている。その傍に座った若い女性が問いかけた。
『お爺さん、あなたホンモノのカウボーイなの?』
爺さんは、木を伐採したり、牛を馴らしたり、ロデオをやったり、乾草を集めたり、小屋の掃除をしたり、トラクターに乗ったり、犬を飼育したりしたこれまでの生涯を振り返り、『ワシゃ自分じゃカウボーイだと思ってるがね』と答えた。

さて、cowhandとも呼ばれるcowboyだが、その謂れは次のようなものだ。
南北戦争で北部と東部は食料が不足し、Texasには3〜400万頭の牛がいたものの世話をする男が戦場に出て不足していた。戦争終結とともにTexasは経済安定の必要に迫られ、牛を飼育して輸送する男が必要になった。こうして生まれた牧童はKansas、のちにはNebraskaの鉄道末端駅までcattle driveをした。嵐、敵意をもつインディアン、雪、炎熱の日照り、野火などの中を進んで牛を送り届ける騎馬の男たちは、dime novelsで美化され、新大陸の騎士物語として民話の主人公になった。

が、その後優良種のcattleが導入され、開拓が進んで農場に囲いが設けられ、鉄道も改善された1890年ごろには彼らの時代が終わった。彼らの生活は辛くて淋しいものだったが、その30年足らずのあいだにできた事実と虚構のためには、その大きな魅力は未だ失われていない。(研究社:アメリカ・ウェスタン辞典参照)
カーボーイの歴史は100年以上前に終わっている点からみれば、現在、自らカーボーイだったと名乗るお爺さんは、まさに虚構でお芝居じみているが、美化することもいいものだ。米国やカナダで、“事実より真なり”とも云える魅力ある“Old Cowboy”に遭遇することがある。