「語りおくこといくつか」は脇において−若者へのメッセージに耳を傾ける

加藤周一『語りおくこといくつか』(かもがわ出版)が二冊送られてきた。Amazonで注文したものだが、代金払いとクレジット払いの二重注文をしてしまったようだ。同氏の講演集で内容は豊富だ。一冊はいずれかの機会に知友に差し上げればいい。
手元に『加藤周一 戦後を語る』がある。
とりあえず『語りおくこと・・』はさておき、『戦後を語る』のなかの≪21世紀に生きる若い人たちへのメッセージ≫を読む。
加藤さんは二つのことを言い遺している。一つは米国の天才物理学者ファインマン(R.P.Feynman)の箴言を引用している。
「彼はエッセイのなかで科学の定義をしました。科学の定義は疑いである。科学者はぜったいにこれがtruth真理だとは言ってはいけない。真理ではなくて、仮にそう考えるのが本当らしいというべきだ。もっと学問が進めば真理でなくなるかもしれないから。
自分の言っていることは間違っているかもしれない。自分の主張する命題は否定することが可能であり、実際そうなるかも知れないということを絶えず意識し、そう宣言しているのが科学者だといっています。自分自身の信念に対しも疑いを加えるのです」
そして二つ目はユーモアだという。
「江戸時代の日本人はよくおつなことを言って笑っていたのですが、明治以来まじめ人間になってしまってだんだん笑わなくなりました。江戸時代のようにもっと笑ったほうがいいと思います。まじめに議論できることはあるけれど、いまのところ笑うほかないような事象があとからあとから出てきます。ことに政界においては(笑)。21世紀に向かって、いまからどういうふうに笑ったらいいのか(笑)、心がけたほうがいいと思います」
2003年9月に開かれた「加藤周一講演と対話のつどい」からの収録たが、何が起こるか政界は一寸先は闇のこんにちの永田町。≪いまからどういうふうに笑ったらいいのか心がけたほうがいい≫と加藤さんは仰るが、笑ってばかりもいられないでしょう。
余談だが、Italy滞在中の子どもたちがPompeiiに出かけたとか。ボクらも先月行きたかったところだが。
今日、現地から写真が送られてきた。場所はPompeii・・?

当人に訊いてみないと疑いも無くそうだとは言い切れないが、うら悲しくも妙なる情景だ。
次に転用したPompeiiの典型的風景と比べてみても遜色ない。