客席の爆笑は喜劇か笑劇か?

久しぶりに良質の新劇を観た。紀伊国屋ホールとの提携による青年座の公演だ。

与謝野晶子家で当時の文人・知識人たちがすったもんだの大騒ぎ。
タイトルは『MOTHER--君わらひたまふことなかれ』。晶子・鉄幹をとりまく白秋、啄木、佐藤春夫など、さらに大杉栄までが登場、いずれの役者も芸達者だが、ほぼ満席の観客が役者の一挙手一投足ではないが、セリフの掛け合いにやたらと笑う。TVのバラエティみたいで爆笑がいささか耳障りだ。笑う観客は決まった人たちだ。演出も、漫才・落語的な要素を取り入れ、役者の間もいい。とはいえ、演出は観客に笑いを強いているものとも思えない。

正味2時間半の長尺モノだったが短く感じたのは良質の芝居の証拠だ。私見だが、題名を『君笑ひたまえ』に変えたら如何?
ボクはこの種の芝居は喜劇というより笑劇(ファルス)と呼ぶべきだと考える。
晶子訳の役者さんの好演はお見事。群を抜いていたことを付言したい。