20世紀最後のハリウッドの大物、異色の大スター逝く

Paul Newmanが逝った。The New York Timesは20世紀最後の大スターの1人、“Magnetic Hollywood Titan”(異色のハリウッドの巨人)だったと報じる。

往時の映画ファンはリズ・テーラーと共演した“Cat on A Tin Roof”「トタン屋根の上の猫」や“The Hustler”「ハスラー」(1961)などに魅了されようが、ボクにとっては何といっても
Butch Cassidy and the Sundise Kid”「明日に向かって撃て」(1969)が鮮烈だ。ダスティン・ホフマンの『卒業』やフェイ・ダナウェイ、ウォーレン・ビティの『俺達に明日はない』などと同時代に登場した、アンチ・ハリウッド映画の草分けだといえる。

ベトナム反戦運動反核運動に参加し、当時のPresident Nixonから政敵リストに加えられたPaul Newmanは、昨年、映画界から身を引いたが、最後まで米国の政治体制の対極に身を置き、反骨精神を保った。
ボクが最後に見た作品はシドニー・ルメット監督の“The Verdict”『評決』である。

本来、弱者のためにあるはずの法律が、強者によって利用され、弱者を追い詰めてゆく・・・。一体、法とは何なのか、そして正義とは?
演技派として数々の傑作を映画史に刻んできた名優Paul Newmanが、法律に、正義に苦悩し、自身の信念と勇気によって立ち向かう弁護士を演じる名画である。
明日に向かって撃て』で共演したRobert Redfordは「言葉で言い表わせない気持ちでいる。真の盟友をなくした。彼の存在はわが人生とこの国をより良いものにしてくれた」とPaul Newmanの死を惜しんだ。