落ち込む大国・悩む大国と勢いづく国

ここ数年、技術者不足が日本をじわじわ侵食しつつあるが、いま明からにエンジニアやテクノロジー分野に進出する若者の数が減少する事態に直面している。大学は学生の理科離れ、科学離れを嘆く。その落ち込みは急である。産業界はキャンペーンに取り出した。エンジニアの仕事はsexy & cool(魅力がありカッコいい)だと売り込みに躍起だ。関連企業は、徐々に海外から技術者を呼び入れたり、仕事場を技術者が豊富なベトナムやインドに転進させたりする。
中国はどうか。年間約40万人の技術者を生み出し、近い将来、日本に代わってアジアNO 1のエコノミック・パワーとしての地位を奪おうとしている。
とはいえ、その中国はいま極めて深刻な問題を抱えている。四川大地震の惨禍の比でない。救いようもない大気汚染。これによる幼児の発育不足と死亡の多さだ。年間30万人ー40万人が大気汚染で亡くなっている。概算すれば、毎二ヶ月、四川大地震の犠牲者数に匹敵する数の幼児が命を落としていることになる。躍進する中国の隠された実相だ。
米国の雇用問題も深刻だ。「一夜明け目が覚めたら、世界が変わっていた」20年以上、Merrill Lynch(メリル・リンチ)で活躍していた第一線の金融マンが最近レイオフされた。9.11テロ以来、Merrill Lynchでは20000人の従業員を放出。Wall Street(ニューヨーク金融街)でレイオフされた人々の中に不安とパニックと怒りが渦巻いている。
他方、Latin Americaは威勢がいい。アメリカの富への依存は減るだろう。自信に満ちている。
産業と経済、富の世界地図が塗り替えられていくようだ。各国とも“持つ者”と“持たざる者”の恐るべき格差を内部に抱えながら・・。