ミルクが豊富なのにバターが消える

スーパーやパン屋さんに入ると、最近バターの姿が余り見られないのにに気づく。日本は牛乳は豊富なのになぜバター不足なのか。パン屋の店主が「このところバターの入荷が1カ月遅れる。バターを使わないクッキーとか新製品の開発で間に合わせなければ」と頭を抱えている。
北海道のビール業界は、ミルク含量30%、低モルトのビールの醸造を試み、余剰な牛乳の有効活用に苦労している。ミルク入りのビールの銘柄は名づけて"bilk"。味は甘口である。
政府筋もわが国パン製造業界の大手4社に、バターの製造を促しているが、そうたやすい問題ではない。農水省はオーストラリア産バーターの輸入を進め、ここ半年内にわが国の店頭を常態に戻そうと必死だ。現在日本に流通してするバターの約10%は輸入モノだが、これが店頭に出るのは秋以降になるだろう。
元凶はやはり世界的食糧不足と価格の暴騰にある。まずアフリカの貧困層を直撃し、次第に東南アジアにも及びつつある。そして、“美食好み”の日本へも波及。輸入加工食品やパンなどの練り粉製品にも影響が出ているのは明らかだ。