北京五輪の隠れたメイン競技は天気情報合戦

四川大震災の目を覆わんばかりの惨状が近づく北京五輪の影を薄くし、暗雲をもたらしているかというとそうではない。世界最大のメイン・スタジアムもほぼ完成し、北京市民はいよいよ五輪モードに入ったようだ。背景に国威高揚と愛国心の発揚の意図がある。競技場の下見とウォーミング・アップも兼ね、他国のアスリートたちがプレオリンピックに似た競技を開始している。
五輪の華は、なんといってもメイン競技場での“より高く、より速く、より強く”の競い合いだ。北京五輪も例外ではないが、さらに今回は舞台裏でもう1つ熾烈な争いが繰り広げられるだろう。いかに正確な天気情報を提供できるかだ。それも長期予報だ。
五輪期間の天気情報のチャンピオンレースに七カ国が参加、3時間単位で、日本、米国、オーストラリア、カナダ、オーストリア、フランスの気象専門家が、北京地方の気温、湿度、降水量など気象状況を分析し、36時間前に北京気象庁に提供する。そして、提供された情報をもとに北京気象庁が公式の天気情報を発表するという仕組みだ。
北京五輪の開催期間8月8日-24日、この2週間の平均気温は25c、湿度は77%。陸上競技に適しているとはいえないが、大気汚染状況も含め、北京市がお天気情報を自国に都合よく曖昧にしたり、隠蔽したりしないよう願いたい。すでにマラソンの世界一流選手が出場辞退を表明しているほどだ。因みに、開会式当日8月8日の過去30年間のお天気をみると雷雨25%。どうやら、北京五輪の成否はお天気模様と大気汚染の具合にあるようだ。