英語嫌いと英語好き・・

勉強嫌いや学業不振者の高校生の多くが「英語」が苦手科目だと嫌悪する。
ボクに言わせれば、英語に関しては好きも嫌いもない。言葉・言語に好悪も何もないはずだ。食わず嫌いの生徒が多いが、小中時代に食べされられた英文のお料理とコック長さんが問題だ。
英語が嫌いな生徒に小学校の頃から英語のイロハを教えられた者が少なくない。ところがこれが逆効果、味もそっけもない紋切りきり型の会話文をオウム返しに声を上げて斉唱する。ヒドイものだ。無味乾燥なテキストと面白くもない先生に出会っての初めての勉強、子供たちは堪ったものじゃない。英語嫌いになるのも無理なかろう。

「英語が好きです」という答えも不可解だ。最初に教わった英語の先生に惹かれたのか、それとも、使われたテキストの内容が面白かったのか。ボクの場合など、読物のツールが英文だった必然性と、英文翻訳を商売にせざるを得ない事情があり、今もって英語が好きですかなんて訊かれても“ハイ、好きです”などと答えたためしはなどありゃしません。
同時通訳の草分け的存在のT.K先生が仰っています。「小学校から中学校って教科の好き嫌いが『先生の好き嫌い』と結びつくんですよね。先生の影響はとても大きい。英語が好きな先生が教えてあげないと、子供たちが英語を嫌いになる可能性も非常に高いのです」
「また、中学生のいる方は、お子さんの英語の教科書をしっかり読んでみてください。たぶんびっくりされますよ。会話文ばかりで読み物になっていなくて、文法を学ぶ場合がほとんどない。英語という言語の体系的な仕組みを学ぶ機会がないまま、義務教育を終えているのです。ところが、いまだに多くの大人たちは『日本語の英語教育は読み書き文法ばっかりでダメだ』と思い込んでいます。自分たちの受けた教育を基準に考えていんですね」
T.K先生の言われる「英語の好きな先生が教えてあげないと、子供たちが英語を嫌いになる云々・」のお説には俄かに肯けないが、他のご指摘は仰るとおりだ。
ボクは年を追って会話力が減退している。特にリスニングはさっぱりダメだ。でも、なんとか海外の友人や関係先とやり取りできるのは、英語の構造と語法を勉強したお蔭だ。語法・文法がメチャクチャな人はいくら喋っても相手に意味が通じない。たとえ対話でやり取りできるとしても内容は幼稚園児レベルの他愛ない内容に過ぎない。
邦紙や日本出版物では知りえない海外事情を英文(原文)を通じて知り、それを高校生に生のまま伝え解説し、読み解いててゆく。これが高校生に英語学習の意義を解らせる糸口になるのではないだろうか。

英語の教師も題材選びの工夫が必要だ。また、教師自らがどのような国際情勢やcurrent topicsあるいは知的好奇心を刺戟する分野に関心を持ち、若者に知識やテーマを提供するかが問題だ。

もう30数年前になるが、“Charlie Brown”や“Bondie”のcartoonsを英語学習の教材に使ったことがある。内容がありオチがある。生徒はとても興味をもったものだ。

ネットやメールがまだ流布していない時代のEnglish materailsとして貴重だった。今はITの時代だ。PCを操作すればいとも容易く手ごろな英文教材が入手できる。
日常会話・対話文法、現代英語の構造を知り、読み書き意味がわかり、活用できる本物の語彙力を身につけることだ。
この語彙力だが、古稀を迎えたボクは衰える一方だ。