The Lost Decadeは終わったはずなの、いつまで続く珍語“ロスジェネ”

最近になって“新型インフル”なる珍語が紙上から見られなくなったが、昨春から半年以上、我が紙上でこの言葉に出会わない日はなかった。
日本人は奇語・偽語を造るのが好きだ。swine flueがなぜ新型インフルに変形されるのかさっぱりわからない。influenzaをflueと略すのはご承知のはずだ。ならば何故“新型フルー”と称さないの? 子供への言葉の教育上よろしくない。
このところ流布されている“ロスジェネ”が最たるものだ。この“用語”がThe Lost Generation(ロスト・ジェネレーション=失われた世代)を意味する略語(珍語)だと知ったのはつい最近のことだ。


数年前、≪失われた10年≫という用語が流行った。The Lost Decadeである。いわゆるバブル崩壊後に到来した不況時代、世代でいえば1972年〜1982年生まれの者を襲った就職氷河期のことだ。が、2006年、我が国政府広報紙英語版は“The End of the Lost Decade”(失われた10年の終焉)を宣言したものの、“ロスジェネ”は一向に終わらない。むしろ、今春は第二の大津波就職氷河期の来襲だ。

≪ロスジェネに関する求人情報≫とか≪「ロスジェネうつ≫に悩む就職氷河期のツケ--30代≫などとにかく陰鬱なトピックスが垂れ込める。
Lost Generationのルーツは米国。詩人Gertrude Steinの“You are all a lost generation”に端を発する。


そしてArnest Hemingwayの“The Sun Also Rises”(陽はまた昇る)のなかに概念が凝縮されている。つまり、1883年〜1899年に生まれた若者たちが、1920年代、20代の時代に第一次大戦に遇い、従来の価値観に懐疑的になったワケだ。


Lost Generationの後にやってきたのがBeat Generation(打ちひしがれた世代)第一次大戦時、1914年〜1929年に生まれた世代が30代後半を迎えた1955年〜1964年の時代、米国が反戦・反体制のうねりに包まれた時代だ。

元祖Lost Generationには思想と文化があった。その後のBeat GenerationはBeatnikとHippie、サブカルチャーを生んだ。
我が国はのロスジェネは何を生み出すのか。新たな文化の芽生えは感じられない。そこに見られる基調は被害者意識と同情か・・?