Yes we can → Yes we made itへ・・・ホッと一息、ひとまず安堵?

President Obamaにとって挫折・断念を許されない最重要内政課題Health Care Reform Billが度重なる陣痛のすえ、下院本会議で修正可決された。
GOP(共和党)が挙党一致して反対、与党DPからも反対票を投じる議員も多く、賛成票219、反対票212。わずか7票差の僅差だった。

大統領選をも通じてBarack Obamaが訴え続けていた、bipartisan(超党派)の改革と米国のUnity(統一)がいかに難しいか、今度の医療保険改革法案の成立までの難航の過程はThe NY Times速報版に見られる“A House Divided Over the Health Bill's Passage”“Proposed Changes in the Final Health Care Bill”のHeadlinesに凝縮されている。

この新法案の成立により、米国の医療保険制度は大きく変わる。これまで国民の6人に1人が無保険状態にあったのが、今後10年間に国内無保険者を3200万人減らし、保険加入率を95%に引き上げる。
が、まだまだ前途多難だ。President Obamaを目の敵にしている保険会社の高額保険料に歯止めをかけなきゃならない。国の財政出動も膨らむ。富裕層に対する所得税率を高めるしかない。
白人富裕層を中心とした怪しい組織The Tea Partyの今後の動きにも目を離せない。今秋の米中間選挙に向けて、Obama政権の支持率アップ、政権浮揚につながるか楽観できない。

ともあれ、ほぼ一世紀に及び挫折を繰り返してきた国民皆保険に向けてのDPの試みがようやく(かなりの妥協を強いられながらも)陽の目を見たことは喜ばしい限りだ。President Obamaが東南アジア諸国訪問など外交日程をキャンセルし批判を浴びてまでもThe White Houseに戻り、自ら議員に電話し説得するという不退転の決意と執念は“口先だけの大統領”の汚名挽回だ。

Barack Obama氏から“謝メール”が届いた。
For the first in our nation's history, Congress has passed comprehensive health care reform. America waited a hundred years and fought for decades to reach the moment. Tonight, thanks to you, we are finally here. 「米国史上はじめて、議会が包括的医療保険改革案を通過させた。国民は100年間待たされ、数十年間の闘いを通じてようやくの瞬間にたどり着いた。そして今宵、皆さんのおかげで、遂にゴールに到達した」
そして“This struggle became a test of whether the American people could still rally together when the cause was right”(このたびの闘いは、正しい大義を前にしたとき、アメリカ人は結束できるか否かが問われる試試金石となった)と述べ、そのうえで、“and actually create the change we believe in”(そして実際、信じて疑わない変化を創造した)
そしてPresident Obamaは“Tonight, thanks to your mighty efforts, the answer is indisputable: Yes we can”(今宵、皆さんの多大な尽力のおかげで勝ち得た答えは疑う余地無きもの≪やれば出来る≫だ)
Obama氏は今回の結果はDPの勝利ではなく米国民の勝利だと謳いあげた。

他方、GOPはObama Administrationへの反発を一段と強め、中間選挙に向けてなりふり構わぬDPに対するネガティブ・キャンペーンに狂奔、成立した新法を再度葬り去らんとの構えだ。
我輩は“Yes we can”が“Yes we made it”へと磐石のものとなるよう願うばかりだ。