Brooklyn v Manhattan

飯田橋名画座ギンレイで『ブルックリン』(Brooklyn)を観た。1950年代前半、アイルランドの田舎住まいの女性が新天地NYのBrooklynに渡り、新生活を始める。戸惑いながらも高級デパートで働く日々の中で自信を身につけ洗練された女性に変わっていく彼女はどのような未来を選ぶか?Brooklynでイタリア系の男性と出会い、愛を育む。故郷Irelandには家族や相愛の男性がいる。2つの故郷、2つの愛から人生を選ぶ主人公の女性エイリシュを実力派若手人気女優Saoirse Romanが好演する。アイルランド・英国・イタリア合作の秀作だった。

1950年代のBrooklynの情景に注目したが黒人の姿があまり見られなかったのは意外だ。現在の人口比率はWhite43.%, African-American36.1%, Irish系11.9%--NY市のなかで黒人が最も多い。『ブルックリン』においても家庭でMLBの名門Dogersの話題が出ていた。1950年代DogersはBrooklynを本拠地にしていたが、白人富裕層の流出が激しく球場の観客収入が減収、1958年西海岸LAに移転する。
ところでBrooklynだがLAのCaliforniaと同様Dem.が強く、50年間上下両院ともGOP議員ゼロ。民主党の牙城である。スローガンは”In Unity There is Strength"(結束は力)だ。"Stronger Togetherに通じるものがあり、大統領選のHillary Clinton選対本部がBrooklynにあったのは極く自然だ。
が、この選対がきちんと機能したか? 選対職員は"The Clinton Campaign Was Undone By Its Own Neglect And A Touch Of Arrogance."(クリントン陣営は自らの怠慢・手抜と傲慢さによって綻びていった)と語っている---Huffinton Post--
特にFBI長官によるHillary の私的メール再調査が再燃した選挙戦最終盤、Clinton陣営の動きどうだったか? 懸念が的中した。著名人や人気スターの応援演説がメインのお祭騒ぎ。肝心のHillaryは椅子に腰掛け悦に入っている。まるで祝勝会のようだった。他方、Trump側はこまめに精力的にドブ板選挙。swing states、激戦州を奔走していた。
結果は4年前、8年前Barack Obamaが制したRust BeltはおろかWisconsinなどまでTrump陣営に持っていかれた。話によれば同州にはBarack & Michelle ObamaはもとよりHillary自身も遊説しなかったという。油断・予断も甚だしい。
Manhattanのど真ん中に居座るTrump Tower。そこを根城にPresident-electを射止めたDonald Trump
だが勝つべくして勝ったというより、根拠なき楽観主義が災いし、Hillary Clinton陣営が負けるべくして負けたというべし。
Trump政権移行プロセスは曲折はあるものの徐々に進行している。司法長官にGOP最右翼の人種差別主義者・排外主義者のJeff Sessionsを指名。公民権団体から激しい非難の声が出ている。
Presidential RaceはManhattanがBrooklynを退けた。が、Upper West SideにあるTrump経営の
高層アパートTrump Placeの外壁に記されていた金色の文字盤<Trump>が居住者の強い要請で撤去された。住民曰く「Trump氏の名前の付いたアパートに住むのは恥ずかしい」と。
米国民の"No Trump"の声は止まない。